SHIFTは2025年10月30日、テンプレート型生成AIツール「天才くんfor情シス」を提供開始した。アクセス権限管理やヘルプデスク対応など、情報システム部門の定常業務を生成AIで自動化・省力化する。用途に合わせて8種のテンプレートを用意しており、プロンプトを作成することなく、定型フォームに必要事項を入力するだけで利用できる。料金は、初期費用や基本料金なしの従量課金制となっている。
SHIFTの「天才くんfor情シス」は、情報システム部門の業務に特化したテンプレート型の生成AIツールである。アクセス権限管理やヘルプデスク対応など、定常業務の用途に合わせて8種類のテンプレートを用意している(表1)。
情シスの担当者は、プロンプト(指示文)を作成することなく、テンプレートの定型フォームに必要事項を入力するだけで利用できる。テンプレートへのカスタマイズも可能である。
| 用途の分野 | テンプレート名 | テンプレートの作業内容 |
|---|---|---|
| 社内問い合わせ対応 | 情シス問い合わせくん | 情シス向けに社内から集まる質問に一次対応する |
| IT環境ナレッジくん | 社内ネットワークやセキュリティの仕様を検索する。技術ナレッジを社内で共有する | |
| セキュリティチェック | 他社セキュリティチェック回答さん | 他社からのセキュリティについての問い合わせに回答する |
| 自社セキュリティ基準照合さん | 外部サービスのセキュリティ確認事項の記入内容が正しいか判定する | |
| オペレーション・運用 | やさしくリライトさん | 情シスの知識がない人やITに詳しくない人に伝わるように、専門用語を簡単な表現に変換し、難しい文章を分かりやすくする |
| 権限チェックさん | 過剰権限や休眠アカウントを洗い出し、各部門ごとの権限状況やアカウントの利用状況を分かりやすくまとめて出力する | |
| システム開発 | レビュー相談くん | システム開発や改善の内容を生成AIに相談・レビューする。不安な部分や悩みを入力すると、アドバイスする |
| エラー原因特定くん | プログラムのソースコードやシステムが出力したエラーログを入力すると、想定されるエラー原因を特定・解説する |
SHIFTは「情シスの日常業務の範囲は、ITインフラの構築・保守、社内のシステム開発や管理、ヘルプデスク、セキュリティ対策など多岐にわたっている。セキュリティチェック関連業務を筆頭に、定常業務の負荷が大きい」と指摘する。
例として、新たに導入するITツールが自社のセキュリティ基準を満たしているかを、情シスが、自社のポリシーに基づくセキュリティチェックシートと照合する作業を挙げている。「システム環境やデータの管理体制など、確認すべき項目は数十から数百に上る。業務が遅延すればITツールの導入は進まず、ツールを利用する業務部門からは進捗報告を催促される」(同社)。
このケースに対し、テンプレート「自社セキュリティ基準照合さん」「他社セキュリティチェック回答さん」を用意している。これを活用して、セキュリティチェックを情シスに代わってAIに行わせることができる。別のテンプレート「情シス問い合わせくん」では、AIが現場からの問い合わせへの代理対応が可能になる。
図1:情シス業務テンプレート「他社セキュリティチェック回答さん」による回答生成イメージ(出典:SHIFT)拡大画像表示
SHIFTは、天才くんfor情シスの開発にあたって、生成AIテンプレートの作成・カスタマイズツール「天才くん」をベースにしている。もともとは社内向けに開発したツールで、導入後約1年で従業員の生成AI利用率が90%を超え、導入効果の見積もりは約1億5000万円という。

































