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私の本棚『本田宗一郎からの手紙』ほか、鹿島建設 金香成明氏が選ぶ3冊

2008年11月25日(火)IT Leaders編集部

それほど読書家ってわけではありません。1カ月に読むのは2〜3冊ってところかな。だから、こういうコーナーに出るのはちょっと気後れしています。おこがましいんじゃないかって。学生時代は1年で120冊読んだこともあったけれど、仕事や家庭を持つとなかなかそうはいきませんね。

本田宗一郎からの手紙
本田宗一郎からの手紙
片山 修 編
PHP研究所
ISBN:978-4569691978

 それほど読書家ってわけではありません。1カ月に読むのは2〜3冊ってところかな。だから、こういうコーナーに出るのはちょっと気後れしています。おこがましいんじゃないかって。学生時代は1年で120冊読んだこともあったけれど、仕事や家庭を持つとなかなかそうはいきませんね。

 ただ、ビジネスパーソンとして必要な教養を身につけるために、名著と言われる本は読んでおこうと心がけています。新聞や雑誌の書評欄や新刊案内をチェックして、「ウェブ進化論」(梅田望夫著)のような話題の本にはできるだけ目を通します。

 著者やジャンルにはこだわりません。買うのはもっぱら文庫本か新書。ハードカバーは重くてかさばるから、通勤電車で読むには不便でしょ。読みたい本は文庫化されるまで待ちます。こんなことを言うと、本当の本好きには怒られちゃうかもしれませんが。

 最近読んだなかで強く印象に残ったのは、「本田宗一郎からの手紙」(片山修編)です。私が勤める鹿島建設は、橋や道路といった社会資本を作っています。それだけに、社員は「自社の利益だけを追求してはいけない。利用者や協力会社がみんな得するような仕事の仕方をすべき」という公共意識が強いんですよ。この本を読んで、私はそんな意識をますます強めました。こうしてぱらぱら見返してみても、実にいいことを言っている。いちいち腑に落ちるんですよ。例えばほら、この「思想が正しくなければ、正しい行動は生まれない」。どうです、心に響く言葉じゃないですか。

 仕事に役立つという意味では、お好み焼きチェーンの社長が書いた「できるやんか!」(中井政嗣著)もよかったですね。社員の悪いところには少々目をつぶる。その代わり、よいところをどんどん見つけて光らせてやる。著者はそんな発想で、社内のモチベーションを高めることに成功しています。「失敗したっていい。人間は、欠けているから伸びるんや」というプラス思考は、部下を持つ身として大いに参考になりますね。

 ビジネス書以外のいわゆる文芸作品では、「大地の子」(山崎豊子著)や「流れる星は生きている」(藤原てい著)、「ワイルドスワン」(ユン・チアン著)が気に入っています。大陸的なにおいのする話が好きなんですよ。

 ここのところ、芥川賞と直木賞の歴代受賞作品を読むというテーマに取り組んでいます。これまでの受賞作品の一覧表をExcelで作りましてね、読み終えた作品にはコメントをつけるんですよ。書評? いえいえ、そんな大層なものではありません。ほんの一言か二言の覚書程度です。まあ、二度買い防止用ですね(笑)。コメントを書き込んでおけば、読んだことを忘れて同じ本をもう一回買ってしまうことがなくなるでしょ。一覧表はまだまだ空欄が多いけれど、マイペースで埋めていきたいと思っています。ただ、古い本になると絶版になっていて入手しにくいことが悩みの種です。そんなときは、自宅近くの図書館で探します。

ウェブ進化論
梅田 望夫 著
筑摩書房
ISBN:978-4480062857

できるやんか!
中井 政嗣 著
潮出版社
ISBN:978-4267017018

金香 成明氏

金香 成明 かねこ・しげあき
鹿島建設 エンジニアリング本部
情報エンジニアリンググループ 部長

1982年に鹿島建設入社後、情報システム部門において各種設計支援・現場支援システムの開発を担当。大規模造成工事現場での勤務を経て、2000年にエンジニアリング本部に異動。工場や配送センター向け運用管理システムの構築に携わっている

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