やる気がみなぎるABCとは 組織を牽引するのは管理職だけではない。意識や行動が突き抜けていて、同僚の成果や成長を意識的に支援できる一般社員、つまり「インフォーマルリーダー」が何人も育っている組織には強い力が宿る。彼ら、彼女らに共通する資質とはどのようなものなのか。そして、どうしたら一歩でも近づけるのか。多様なリーダーシップを育む策を探る。
「当社の成長を支えているのは、実は会社が任命した管理職のマネジメントではなく、あちこちの部署にいるリーダーシップの強い一般社員なんですよ」。先日、あるIT関連会社の役員がこう話してくれた。彼の言う「リーダーシップの強い一般社員」を私たちは、“インフォーマルリーダー”と呼んでいる。読んで字のごとく、正式には任命されていないけれど、意識や行動が突き抜けていて、同僚の成果・成長の支援を意識して牽引できる人のことである。

管理職にとっての障害
これまでのコンサルティングの経験から、このインフォーマルリーダーの特性を持った人が多い組織が高い成果を上げていることが分かっている。それはなぜだろうか?
フォーマルなリーダー、つまり会社が任命した管理職には“会社へのしがらみ”がつきまとい、実はブレイクスルー(突き抜けた意識と行動)がしにくいという側面がある。私はこれを、「縮こまり管理職の障害ABC」として指摘している。具体的には、Accountability(組織への責任)、Behavior(忠実な態度)、Control(部下の管理や統制)である。この3つを深く認識する管理職が組織ではいい評価を得るわけだが、これらばかりを意識すると前例やバランスを重視するようになり、ブレイクスルーが難くなってしまうのである。
一方、インフォーマルリーダーが持ち合わせている資質もABCの3つで整理できる。それは、Action(行動力)、Belief(信念)、Commitment(遂行)だ。
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