[モチベーションを科学する]

悩み多きリーダーが次世代のリーダーを育てる(第9回)

2009年6月8日(月)

部下を操り人形にしない 自分のマネジメント哲学のよき理解者でありつつ、暴走をいさめてくれる人材をどう育てるか。組織を率いるリーダーにとって、非常に重要であると同時に頭の痛い課題だろう。今回は、ナンバー2育成のヒントを解説する。自分の価値観を強要するリーダーの下には、すぐれたナンバー2は生まれない。

「あなたには、マネジメントの意思を共有してそれに率先して垂範しながらも、時にはあなたに苦言を投げかけるナンバー2はいますか?」。これは、私が取締役として経営メンバーに加わったばかりころ、取引先の社長に投げかけられた質問である。その社長は、「成長を続ける組織には強いメッセージを持ったリーダーと、そのリーダーを支えるナンバー2が必ずいる」と話していた。

この社長の言ったことは、規模の大小にかかわらずあらゆる組織に当てはまる法則だろう。50人を擁するシステム部門であってもメンバー5人からなるプロジェクトチームであっても、ナンバー2を育成することは組織を活性化して継続的な成長を目指すために極めて有益である(図1)。それだけではない。ナンバー2の育成を通じて、リーダー自身が成長できる。そこで今回は、ナンバー2をどう育てていくかを考えていく。あなたがナンバー2候補と考えている部下を具体的に頭に置きながら読み進めていただきたい。

図1 トップを支え、チームを活性化させるナンバー2を育成する

リーダーのクローンを作らない

具体的なナンバー2育成法について述べる前に、ナンバー2の育成に取り組むリーダーにくれぐれも忘れてほしくないことを指摘しておく。ナンバー2の育成とは、あなたのマネジメントを学びながらも、自ら考えて行動できる1人の人材を育てることである。ナンバー2はあなたの操り人形ではないし、ましてやあなたのクローン(分身)ではない(図2)。マネジャーが自分の価値観や習慣を当然のごとく押しつけて思い通りに操作しようとしては、自ら考えて行動し、ゆくゆくはリーダーとして活躍できるナンバー2は育たない。「こんなリーダーになってほしい」という方向性をゆるやかに示しながらも、そのナンバー2候補が深く考え実行することを支援すべきである。

図2 ナンバー2育成の失敗例

その一方で、多忙を理由にナンバー2候補とのコミュニケーションをおざなりにする「放し飼い」もいけない。ナンバー2を育成できるかどうかは、コミュニケーションの丁寧さで決まる。丁寧さとは、ナンバー2候補の表情や行動、報告内容などをよく見ることである。重要な用件をメールで伝えておいて、「あれだけ言ったのにできていない」とぼやくリーダーの下には優れたナンバー2は育たない。

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