システム需要の増減に柔軟に対応し、セキュリティの向上や運用コストを削減できる──それを実現するシステム基盤の姿の一つとして、関心を集め始めているのが「インターナル(企業内)クラウド・コンピューティング」だ。仮想化技術とブレードサーバーなどを活用し、社内のコンピュータ資源を”クラウド化“する。この方向の必然性と現時点における実用性を明らかにする(本誌)。
多くのITリーダーの方々にとって今や、仮想化技術は馴染みのある技術になりつつあるはずだ。具体的にはVMwareやXenServer、Windows Server 2008 Hyper-Vといった仮想化ソフトを使ったシステム基盤である。かつて大型汎用機に限られていた仮想マシン(VM)をより気軽に構築できるようになり、サーバー台数の削減や運用性向上を目的にしたサーバー統合を実践できるようになった。だが仮想化技術のメリットは、それだけではない。
「クラウド・コンピューティング」─。2008年、一気に広まったITキーワードの一つだ。コンピュータ資源やネットワーク資源をインターネットの”向こう側”に任せ、ハードウェアや時にはミドルウェアさえも気にせずに、システムを構築できる。データセンターに用意した数多くのPCサーバーを仮想化技術によって一つであるかのように見せ、ハードウェア資源を気にせずにシステムを開発したり運用したりできる(図1)。

まだ実用には遠い技術に思われるかも知れないが、仮想化技術を利用すればクラウド・コンピューティングとほぼ同等の利点があるコンピューティング環境を自社内に構築できる。すなわち“インターナル・クラウド(企業内クラウド)”である。
筆者らは、2年以上前の2006年秋に仮想化、そしてクラウドに関わる技術の可能性を捉え、2007年1月に「日立ソフトSecureOnline」というクラウドセンターを立ち上げた。これ自体は、一般企業やIT企業にクラウド環境を月額課金で提供するサービス用のセンターだが、社内でも当然、活用している。
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