[株価から見るIT企業の強みと弱み]

新データセンターの業績寄与がカギ、クラウド戦略も要注目[ビットアイル 証券コード3811]

2010年1月22日(金)長橋 賢吾(フューチャーブリッジパートナーズ 代表取締役)

データセンター大手であるビットアイルの株価が底堅い。2007年9月につけた最安値4万1000円を金融危機以降も割ることなく、底堅く推移している。今度とも底堅く推移するのか、あるいは底割れがあるのか、同社の業績をもとに考えてみよう。

ビットアイルは2000年、寺田倉庫創業家の寺田航平社長が創業した企業である。倉庫業を営む寺田倉庫において、モノを預かるだけでは付加価値は限定的。それを提供する手段の1つがビットアイルのデータセンターだ。

一口にデータセンター事業といっても、アプリケーション保守のようなマネージドサービスからホスティングまで様々な事業形態がある。同社の場合は、図1に示すように売上の80%以上がiDCサービスであり、(1)一般企業やインターネット企業などの顧客にラックスペースを提供するiDC(一般)、および(2)データセンター事業を展開するSIerや通信事業者など向けにラックスペースを提供するiDC(OEM)の2パターンがある。

図1 ビットアイル連結サービス別売上構成(単位:%、百万円)
図1 ビットアイル連結サービス別売上構成(単位:%、百万円)

ビットアイルの強みはコストパフォーマンスの高さだ。蓄積してきたデータセンター構築ノウハウに加えて同社の第1〜第3データセンターが天王洲にあり、都心型のデータセンターながらも割安で提供できる点が同社の競争力になっている。

第4センターの稼働率がカギ

データセンタービジネスで難しいのは、既存センターのスペースが最大になった場合の次の戦略だ。一般的には新設となるが、新設にあたっては (1)都心か郊外かなどの場所、(2)今後の需要動向の見極め、(3)マネージド中心の高付加価値かホスティング中心の低価格かといったコンセプト、など検討すべき点がいくつもある。実際、2000年代前半のITバブル時に各社一斉にデータセンター建設に走ったが、バブル崩壊後、深刻な需要不足となり、統廃合が加速した経緯がある。

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