2005年頃にSaaSが登場して以来、「○○○ as a Service:サービスとしての○○○」というパターンの言い回しがさかんに使われるようになりました。時にマーケティング的要素を多分に含んだ使われ方もしますが、この言い回しは、クラウド・コンピューティングの構成要素について話すときに、どのレイヤを指しているのかが一目瞭然で便利なので、今ではクラウド関連用語としてすっかり定着しています。
これから普及期を迎えようとしているSaaSと、進化の最中にあるPaaS/IaaS。それぞれのレイヤにおいて具体的なサービスが次々と登場し、○○○ as a Serviceという考え方がユーザー企業において徐々に浸透していきました。そして、これらに続く形で最近注目度を増している分野に「DaaS(Desktop as a Service)」があります。DaaSは、デスクトップ仮想化技術によって構築される仮想デスクトップ(クライアントPC)環境をクラウド・サービスとして利用する形態です。
「サービスとしてのデスクトップ」「デスクトップのクラウド化」というDaaSのコンセプト自体はすでに2006年頃には語られていて、特に新しいものというわけではありません。ですが、2009年辺りからサービスを提供する事業者の数が増えており、また、クラウドに対するユーザー企業の理解が深まってきたことで、ここにきて現実味を帯びてきたように思います。
DaaSは、ここ数年で性能や機能が大幅に進化し、活気づくデスクトップ仮想化製品市場の次なるステージと見られています。ユーザー企業は、VMware ViewやCitrix XenDesktop、Microsoft VDI(Virtual Desktop Infrastructure)といった主要なデスクトップ仮想化技術/製品を用いて構築された運用管理サービス込みのDaaSソリューションを、月額/従量課金型でDaaS事業者と契約し利用することになります。
SaaSなどに比べると、現時点で選べるサービスの数はかなり少ないのですが、英国ツークラウドの「tuCloud」、米国デスクトーン(国内販売元:丸紅)の「VirtuaTop」、富士通の「ワークプレイス-LCMサービス」、日本IBMの「IBM Smart Business Desktop Cloud」といったDaaSが利用可能になっています。
DaaSは、各ユーザーのデスクトップ環境を中央に集約することで、煩雑なクライアントPC運用管理の負荷/コストを軽減し、セキュリティ・レベルを引き上げるといったメリットをもたらしますが、その多くは、DaaSの一歩手前のステージであるオンプレミスでのデスクトップ仮想化においても享受可能です。
●Next:DaaSを選ぶメリットは?
会員登録(無料)が必要です
- セールスフォースがSlackを買収、目指すは“次のクラウド革命”:第57回(2020/12/02)
- モダナイズ型の事業創出に注目、コニカミノルタの「Workplace Hub」:第56回(2018/12/13)
- デジタルトランスフォーメーションでアジアに後れを取る日本企業、課題はどこに:第55回(2018/02/28)
- 施行まであと1年半、EUの新データ保護法「GDPR」への備え:第54回(2017/01/31)
- 基盤、機器、管理ソフトが丸ごと揃う「IIJ IoTサービス」はどのぐらい魅力的?:第53回(2016/07/20)