[技術解説]

主要ストレージ比較─ 統合管理と細かなムダ取りに工夫、ミッドレンジ機の機能拡張が目立つ

ストレージの「今」を知る Part7

2011年4月26日(火)折川 忠弘(IT Leaders編集部)

仮想化や自動階層化、重複排除など、前パートまでに取り上げた技術を実装するストレージが増えてきた。基本的なコンセプトは同じでも、そこには製品ごとに細かな工夫が見られる。主要なストレージの特徴をチェックする。折川 忠弘(編集部)

ストレージの利用効率を少しでも高める一方で、運用に伴う作業負荷は可能な限り減らしたい─。こうしたニーズに応えるため、ベンダー各社は自動階層化などの最新技術を積極的に投入している。当初は、一部のハイエンド機にのみ実装されていた機能も、ここにきてミッドレンジ機に広がりつつある。主にバックアップ用途で注目を集めている重複排除技術も多くの製品に取り入られるようになった。ディスクの価格下落も相まって、比較的安価な投資で最新技術を利用できる環境が整ってきた。

本パートでは、ハイエンド向け、ミッドレンジ向け、バックアップ向けの3カテゴリーで、主要なストレージ製品の概要を見ていく(表7-1、表7-2、表7-3を参照)。

表7-1 自動階層化機能を備えるハイエンド向けストレージ一覧
表7-1 自動階層化機能を備えるハイエンド向けストレージ一覧(画像をクリックで拡大)
表7-2 自動階層化機能を備えるミッドレンジ向けストレージ一覧
表7-2 自動階層化機能を備えるミッドレンジ向けストレージ一覧(画像をクリックで拡大)
表7-3 重複排除機能を備えるストレージ一覧
表7-3 重複排除機能を備えるストレージ一覧(画像をクリックで拡大)

ハイエンド向けストレージ─自動階層化の独自色強まる

速度や容量あたりのコストなどで保存先となるディスク群をレイヤー分けしておき、データの価値に応じて最適な場所に保存する。各社が実装する階層化の仕組みは、この基本的な考えにおいて大きな差異はない。保存時のデータの粒度や対象とするディスクの種別などに各社の工夫がある。

EMCジャパンの「EMC Symmetrix VMAX」は、データ配置の最適化を図る機能「FAST VP」が特徴的だ。データの利用頻度を割り出す際には、データブロックを8MB単位に分割して分析。3500以上のアプリケーション情報も参照して適切な保存先を決定する。

実際にデータを移動する時は、最小768KB〜最大360MBという可変長でキメ細かく再配置する機能を備える。アクセス頻度の高いデータはSSDなどの高速レイヤーに配置するのが妥当だが、ブロック単位が大ぐくりだとムダも少なくない。ここに768KBというごく小さな単位を持ち込み、余計なディスク消費を極限まで抑えられるようにした。あまり使わないデータを低速で安価なレイヤーに移動する際は、最大360MBという単位で効率よく移動できる。

ネットアップの「FAS6200」は、利用頻度の高いデータをフラッシュメモリー上に自動的にキャッシュする「Flash Cache」に独自色を打ち出す。

SSDよりも遅いFCやSATAのディスクに保存するデータであっても、実利用で頻繁にアクセスされるものはキャッシュ上に配置される。ここからデータを読み込む分には、SSDと同等水準の速度が出る。フラッシュメモリーの大容量化に伴ってキャッシュがヒットする比率を高められ、通常の自動階層化に匹敵する性能が期待できる。「メールサーバーなど、トランザクション系と違ってアクセス集中が予測しにくい領域でも効果を発揮する」(技術本部 本部長 近藤正孝氏)という。

日立製作所の「Hitachi Virtual Storage Platform」(VSP)は他社製ストレージのディスクも含めて階層化環境を構築できる。同製品はFCインタフェースを用いて主要な他社製ストレージを接続。これらが持つディスクと自身が備えるSSDなどを組み合わせて、データをレイヤー別に自動配置する。「既存資産を階層化環境に組み入れて有効活用できる」(事業企画本部 製品企画部 部長 大枝 高氏)点をユーザーに訴求する。

そのほか、日本HPの「HP StorageWorks P9500 ディスクアレイ」はアプリケーションの重要度に応じてストレージ性能を割り当てられる機能を装備する。ディスク性能に加えてネットワーク帯域も優先的に配分する機能を備え、業務に応じたリソース最適化を支援する。富士通の「ETERNUS」は2011年中に、自動階層化機能を備えるモデルを投入する予定だ。

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