2011年3月11日に発生した東日本大震災は、国内の企業活動に甚大な影響を及ぼした。GDOも例外ではない。震災直後、同社の経営陣は交通網のマヒによる社員の出勤可否や停電などあらゆる可能性を考慮し、一部の社員を除き全社的に出社を制限するという緊急措置をとった。16日に上記の措置が解除されるまで、GDOの業務は事実上ストップした。
当然、総合テストの真っ最中だったG10プロジェクトも影響を受けた。最も大きかったのが、3月下旬に予定していた「移行リハーサル」を実施できない可能性が出てきたことだ。
2日でリカバリー案を作成
G10再開の指令が正式に出たのは、17日のこと。震災から6日後だった。ビジネスデーにして5日間、プロジェクトは凍結状態にあったわけだ。この間、IT戦略室の志賀智之室長をはじめとする中核スタッフは出勤していたものの、大部分の社員や外部のコンサルタント、ITエンジニアは業務ができない状態だった。結果として、「例えば会計/情報流通基盤を担当するチームでは、25人日のタスクロストが発生した」(志賀室長)。
この事態をどう乗り越えるか。各チームは急きょ、対策を練った。翌18日には全チームのリカバリー案が出そろい、「3月末に、プロジェクトメンバーと業務部門のキーパーソンによる総合テストを完了。4月からはユーザー受け入れテストを開始する」という当初予定を死守できるめどを立てた。リカバリー案の作成には、G10全体を支援しているアビームコンサルティングの知見が役立ったという。
ここで問題になったのが、冒頭で触れた現行システムから新システムへの移行リハーサルをどうするか、である。移行リハーサルとは、従来システムを新システムに切り替えるまでの作業の流れを、本番環境とは別に用意した開発環境を使ってシミュレーションする作業だ。計画では3月24日から実施するはずだったが、震災による総合テストの積み残しがあり、予定を順守することは不可能になった。
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