[技術解説]

実世界と最新ITが融合した先にあるもの (イントロダクション)

実世界の挙動×最新IT→豊かで知的な社会

2011年8月2日(火)田口 潤(IT Leaders編集部)

「Cyber Physical Systems(CPS)」という言葉をご存じだろうか。現実世界(Physical)で起きる様々な出来事を、各種のセンサーなどを介してITに取り込む(Cyber)。それを適切に処理して、実社会をより高度、あるいは快適で便利なものにしていく。そんな、ITと現実世界が一層緊密に融合した次世代システムのイメージだ。

 20年ほど前まで、ITは業務の効率化、つまり伝票処理を正確かつ迅速にこなすことを目的に発展してきた。道具としてのITである。その後はネットの時代。サイバー空間上に、現実とは別の世界を作る動きが活発化した。CPSはその先、つまり現実世界とサイバー世界の融合を指向する。

 今、時代は大きく変わろうとしている。情報爆発、あるいはビッグデータという言葉が端的に表しているように、ケタ違いの情報が比較的簡単に手に入る環境が整い始めたのだ。インターネットが隅々まで普及し、さらにはヒトやモノの挙動を記録するデバイスが目覚ましく発展したことが背景にある。

 製造ラインでの工作機械の動き、ATM(自動預け払い機)での生体認証、タクシーの実/空車スタイタス…。企業活動以外に目を転じれば、全国の気象観測データ、幹線道路の監視カメラ映像、医療機器の検査結果などもどんどん記録されている。GPS内蔵のスマートフォンで撮影した写真や動画もそうだし、Twitterなどソーシャルメディア上の発言も“感情センサー”を介した情報と捉えられるだろう。今や、社会で起きている様々な事象を把握する素地が、日進月歩で整ってきている。

世界規模の英知を集め豊かな社会を目指す

 一方で、データを分析・活用するコンピューティングパワーも加速度的進化を続けている。リアルな世界から時々刻々と吸い上げる大量のデータと最新ITとの掛け合わせで、何が起きようとしているのか。その先駆けの例として、気象情報サイト「weathernews.jp」がある。160万人を超えるサポーター会員から寄せられる天候情報や、独自の気象データを組み合わせ、ゲリラ豪雨の発生状況をピンポイントで把握することなどを可能にしている。

 こうした取り組みの延長線上には、膨大なデータを元に世界の英知を結集しての仮説検証、あるいは予兆発見による事前対策を可能とする時代が垣間見える。つまりは冒頭に触れたCPSである。このコンセプトは米国科学財団(NSF)が2009年に研究テーマに据えたことを発端に、世間の耳目を集めるようになった。

●Next:エマージングテクノロジーが未来を拓く

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