センサーなどから生み出されるデータを活用するM2Mソリューション。企業のビジネス活動において、どのような成果が期待できるのか。2012年6月29日、東京・ベルサール八重洲で開催されたセミナー「IT Leaders フォーラム 2012」から、日立製作所 PFビジネス本部 ビッグデータビジネス推進部 担当部長の山口俊朗氏によるセッション「日立のセンシングデータ活用事例 「実業×IT」が相乗効果を生み出す」の模様をレポートする。
通信モジュールの低価格化や、センサー技術の発達によって、高度なビジネス利用への道が見えてきたM2M(Machine to Machine)。ユーザー企業にどのような可能性を開くのか。その格好の事例となるのが日立製作所である。同社は、ITベンダーとしてこのテーマに取り組むとともに、自らのビジネスに活用する先進ユーザーでもあり続けてきた。
例えば、ガスタービンの保全システムもその1つだ。ガスタービンは、軽油や天然ガスを燃やして動力を得るエンジンの一種。発電設備などに利用される。新興国や資源国の経済発展に伴い、電力やエネルギーの需要が急増。出力規模が手ごろで、短納期が可能なガスタービンの需要が伸びている。
一方、ガスタービンは精密機械のため、販売後も稼働状況をモニタリングしたり、メンテナンスしたりする必要がある。特に、最近はユーザー層の拡大に伴い、不具合が発生した際の解決をメーカー側に求めるケースが増加。こうした要望に応え、素早く問題に対処するためには、ガスタービンの状況を常に把握しておく必要がある。
そこで、日立は、全世界で稼働する自社のガスタービンに、200個以上のセンサーを装備。主要な部品の温度や振動、圧力などのデータを収集している。データは、インターネットを利用して、日本国内に設置した日立のデータセンターに送信。その量は、1日あたり2GB、1年間で720GB程度になる。
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