重要度増すグローバルでのマスター統合 成功への実践的なアプローチとは ビジネスのグローバル化が進む中で、データマネジメント体制を確立し、経営の見える化など情報活用を進めることは喫緊の課題だ。しかし、どこからどうアプローチすれば良いのだろうか。データマネジメントの専門会社としてこれまで600以上のプロジェクトを手がけてきたリアライズ。同社の櫻井崇氏が、その経験から実践的なアドバイスを語った。
情報活用ソリューション部 部長
櫻井 崇 氏
経営の見える化、業務の効率化、顧客満足度の向上、変化への対応など、データマネジメントのもたらす効果は様々だ。しかし、その実践は一筋縄にはいかない。リアライズの櫻井氏は「経営上重要なデータを経営分析に活かすには軸が必要になる。それがマスター統合である」と口火を切った。
ただし、ビジネスがグローバルに展開している今、マスター統合の仕組みを構築することは難しさを増している。国内であれば中央集権的なアプローチが可能だが、文化や法制度などビジネス環境が異なる海外に適用していくことは簡単ではない。
同氏は総合的なマスター運用の考え方として、複数のマスターデータを統合マスターに集約する「解析型」、統合マスターと周辺システムを共存させたまま、双方でメンテナンスを実施して結果を同期させる「共存型」、さらにそれを一歩進めて統合マスターで一元管理して、周辺システムにマスターデータを配信する「トランザクション型」を紹介。「将来的に“ゴールデンマスター運用方式”と呼ばれるトランザクション型に統合することを目指して、段階を踏んで進めていくのが1つの理想。そこでは、全社で共有して一意性を持つものと、バラバラに持つものとのメリハリが重要になる。無理をしない柔軟性も大切だ」と指摘する。
実際にどのようにマスター統合を進めていけばよいのだろうか。櫻井氏は自らの経験から「グローバルでも基本的な考え方は同じ。ただし規模感が違うためコードも多岐にわたっており、集約して同一のものかを判別することも簡単な話ではない」と話す。
そこで連携する情報を大きくまとめて捉えるとともに、データの生成や利用といった“データ流通”を見ることが重要になる。「上からブレイクダウンしてデータの流通を見ていくことが肝要。業務プロセスを流れる情報の違いを見て、どこを統一して、どう分担するのかを決めていくのが良い」(櫻井氏)。
プロジェクトを成功に導く4つのポイントと実践方法
「データマネジメントを攻めの策として行う企業が増えている」と同氏は3つの事例を紹介した。(1)新たなターゲットの創出を目指し、データを意味レベルで統合することで売上拡大に繋げた事例、(2)販促効果を上げるため、グローバルマスターを現地法人で最適化することで販促予算の価値を2倍にした事例、(3)データの誤りを正すことで、決算処理にかけていた人員を200分の1にまで減らし本来の業務に専念することができた事例、である。
これらを踏まえて、攻めのデータマネジメントを成功させるポイントを4つ挙げた。経営層のコミットメントとしての「錦の御旗」、目的を明確にして進める「目的志向」、成功体験を積み上げる「大きく計画して小さく始める」、そしてデータの中身まで確認して真の問題点を探る「データ品質問題の正確な把握」である。
「本来、何をやりたいのかという戦略を中核に据えて、ツールだけでなく、マインドと教育、体制と役割、そしてルールとプロセスの整備を実践していく。そこではデータクオリティ、データガバナンス、マスターデータマネジメントの3つの組み合わせが必要になる」と櫻井氏は会場に訴えかけた。
お問い合わせ
株式会社リアライズ
http://www.realize-corp.jp/
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