高度なデータ活用は データ管理の成功から始まる EAI/ESB製品「ASTERIA」で知られるインフォテリアは、2008年からマスタデータマネジメント製品「MDM One」を展開している。同製品のユーザーは製造業、流通業など大手企業を中心に約20社に上る。油野氏は、そうした同社の実績をもとに、企業がデータマネジメントに取り組む際に何がポイントとなるのかを解説した。
執行役員 営業本部長
油野 達也 氏
製造業、流通業など大手企業にMDM製品を展開するインフォテリア。油野氏によると、ビッグデータやクラウドへの取り組みを進める企業では、データマネジメントにまつわる課題が急浮上しているという。その解決には、大きく2つの要素があると説明した。
1つめが「データクオリティ」。企業が取り扱うデータの総量は、元となるマスターデータにイベントを掛け合わせたものと考えることができる。マスタデータに品質不良があると、派生データにも当然影響し、結果として、データ品質が危機的な状態になる。近年注目されるビックデータについても構造は変わらない。大量のデータをどれだけ高速に処理しても、間違ったデータしかでてこないのでは意味がない。
2つめの要素は「アプリケーションとデータの分離」だ。アプリケーションとは、販売管理、生産管理、財務管理といった業務システムを指す。個別アプリケーションが配下のデータと強く結び付いている構造になっていると、クラウド環境への移行しようにも自由度が低く、期待する効果が得られない可能性があると油野氏は指摘する。
成功の具体策として勧める「データ管理課」の設置
データマネジメントの実践では、この2つの要素をうまく取り扱うことが重要だ。まず、データクオリティを保つために、データを管理するシステムを作ることがポイントになる。これは「企業のデータを、だれが、どのように、どの程度、管理していくのかを決めること」(油野氏)だという。
近年は企業間の境界が曖昧になり、データの所有者が不明確なケースも散見される。どこまでがグループ会社か、取引先かといった例である。競合他社と突然合併するといったケースも珍しくはない。どんな場合でも、データ管理は最優先で取り組まなければならない。また、「クラウドやビッグデータを活用を踏まえると、データマネジメントは、それ自体をスケールさせるという視点、すなわち“Data Management at Scale”という視点が重要になる」(同氏)。そこで油野氏は、データ管理を担う人材・組織として「データスチュワード」を設置し、データ管理そのものをシステムとして管理することを提案。具体的には、データ管理業務を担当する組織として「データ管理課」を作ることの意義を訴えた。
もう一方のアプリケーションとデータの分離については、前述のデータ管理課を中心として、アプリケーションの調達プロセスを変革することがポイントになると解説。販売管理、顧客管理、財務管理などのシステムごとにひもづいたデータを、それぞれのシステムとは別のシステムとして管理することが現実のアプローチ。具体的には、MDM製品がその役割を担う。
さらに、油野氏は、こうしたビジョンは単なる概念ではなく実践レベルに入りつつあると説明。事例として、MDMとSOAによるシステム間連携を実現したケース、全世界で単一の部品マスターを共有するシステムを構築しているケース、アプリケーション層とマスタデータ層を分離してシステムの柔軟性を確保を図るケースなどを紹介。高度なデータ活用を目指す企業ほど、足下のデータマネジメントを重視していることをあらためて強調した。
お問い合わせ
インフォテリア株式会社
http://www.infoteria.com/jp/asteriamdmone/index.php
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