シリコンバレーは起業家に優しい地域だが、外国人が伝手なしに起業するとなると、そう簡単にはいかない。就業ビザを取得できないからだ。ある起業家たちがそれを可能にするために立ち上がった。
1999年、ノースイースタン大学の学生であったショーン・ファニングは趣味が高じてP2P(Peer-to-Peer)を使ったミュージック交換サイトNapsterを立ち上げたところ大人気になり、起業した。その後、マサチューセッツ州からシリコンバレーのサンマテオ市に会社を移転した。
2004年1月、ハーバード大学生であったマーク・ザッカ—バーグ氏(現FacebookのCEO)は、ソーシャルネットワーキングThe Facebookを学生寮で始めた。同年6月にはシリコンバレーのパロアルト市に移って、ピーター・シール氏(シリコンバレーで著名なエンジェル投資家)から初めての投資を受けた。その後、名称をFacebookに変えた。
2010年4月、ニューヨーク大学の学生4名が、Facebookよりも安全なソーシャルネットワーキングをオープンソースとして開発するべく、Diasporaを起業した。彼らはニューヨークでシードマネーを集めて、3カ月後にサンフランシスコに会社を移した。
こうした例は枚挙にいとまがない。アメリカ国内からだけではなく、イスラエル、フランス、北欧、ロシアなど、世界中からシリコンバレーにやってくる。最初に自国で起業して軌道に乗るや、シリコンバレーに拠点を移したり、第二本社を開設する外国企業も多い。Check Point Software、Talend、Zend Technolo-giesなどがその例だ。だからシリコンバレーの住民の36%は、外国生れなのである(先月号の当コラム参照)。
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