[事例ニュース]

日本政府が挑む「政府情報システムの棚卸し」プロジェクトの実際

2013年8月9日(金)河原 潤(IT Leaders編集部)

読者は、総務省が主導する「政府情報システムの棚卸し」プロジェクトをご存じだろうか。これは、政府の情報システムが扱う情報資産等を可視化し実態を把握した上で、それを情報基盤として活用していこうとする取り組みだ。これを契機に全システムの運用保守等にかかる莫大なコストを圧縮し、電子政府を戦略的に整備・運用していこうとする、他国でもほとんど例のない試みだ。2013年7月25日、東京都内で開催された日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)の定例セミナーでは、総務省 行政管理局で副管理官を務める大平利幸氏が特別講演スピーカーとして登壇。同プロジェクトのねらいと進捗、今後の計画などについて語った。

継続的な情報資産管理サイクルを目指し、現在までに棚卸しを2回実施

 上述の基本方針・コンセプトに沿って、政府情報システムの棚卸しプロジェクトは2段階構成で実施された。実施にあたり棚卸しの対象となるシステムは、府省内LAN(同時に調達するグループウェアを含む)、通信ネットワークシステム、情報処理システム、スタンドアロン・コンピュータの4種類に区分された。また、情報システムの機能に着目した13分類(内部管理系、情報提供系など)、情報システムが担う業務に着目した112分類(国民向けサービス、人事給与系など)が設けられ、それぞれで調査が行われるという仕組みである。

 2012年6月、政府内のすべての情報システムの現状を把握しコスト構造上の課題等を抽出することを目的に、第1段階となる簡易的な棚卸しが実施された。上述の基本方針・コンセプトに沿えば、棚卸しで得られた全情報システムの現状や課題等の情報を、将来のステップである政府情報システムの統廃合・集約化等の刷新に取り組むための基礎資料として活用するということになる。

 この結果に満足したのが、8月に就任し、同会議の委員として様々な問題提起をした遠藤紘一政府CIOその人である。初代の政府情報化統括責任者、すなわち政府CIOにリコージャパン出身の遠藤氏を任命。同社副社長/CIOとして、ITを戦略的に活用し全社的な業務改革を断行した遠藤氏の経験とスキル、リーダーシップをもって、2010年に策定した「新たな情報通信技術戦略」の実践に向け、本腰を入れることとなる。

 着任早々にこの第1弾の棚卸し結果に満足した遠藤氏は、氏の肝いりのプロジェクトとして、すぐさま第2段階の実施に向け作業に着手。同年12月から2013年2月にかけて、わずか4カ月という短期間で、政府保有の総数にして約1500に及ぶ情報システムに関する詳細な調査およびデータ構築が敢行された。政府史上、これほど詳細な情報システムの調査は過去に例がない。

 詳細な棚卸しに臨むにあたって総務省は、最初の簡易的な棚卸しで得られた結果(可視化された情報資産データ)を、別途構築する「政府情報システム管理データベース」に登録し、以後継続的にデータを更新していく仕組みを整備。それにより、「各府省および政府全体における投資管理や、政府情報システム間の統合・連携等の企画立案、リスク評価、脆弱性検出等情報セキュリティ対策の強化などに活用できるよう、継続的なサイクルを確立させる」(大平氏)ことが目指されている。

 このうち政府情報システム間の統合・連携等の企画立案に関して大平氏は、「棚卸しによって、各システムの構成や構築時期、リプレース予定時期などが明らかになれば統合もしやすくなるはず。現在進めているクラウド(PaaS)の政府共通プラットフォームへ各府省のシステムを移行していくこともより促すことができる」とメリットを説明した。

図2 棚卸し後の情報システム管理の将来像(イメージ) 出典:第3回政府情報システム刷新有識者会議 議事次第資料「政府情報システム棚卸しについて」より引用(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/yuushikisha/dai3/siryou1.pdf)
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