世界中の自動車メーカーが改めて、ハイテクの本場であるシリコンバレーに研究開発拠点を開設し、活動を強化している。半導体チップやクリーンエネルギーなどの技術協力体制の確立と、ソフトウェアを中心としたエンジニアの確保が目的だ。
「車+ネット」5兆円超の市場に
「MobileBeat」というカンファレンスが2012年7月、サンフランシスコで開催された。その席上、IBMとスプリントが、自動車用アプリケーションのための接続プラットフォームを共同開発すると発表した。IBMのMobileFirstソリューションとSprintのVelocityインターネット接続サービスを統合して実現する。
ハードウェアがインターネットに接続されることで、その使い方や各種ザービスのあり方が一変することは、アップルの取り組みが示している。アップルは最初の携帯音楽プレーヤー「iPod」を01年に発表し、03年に音楽配信サービス「iTunesミュージック・ストアー」を開設した。iTunesは今や世界最大のミュージック・ストアーである。そして07 年に「iPhone」を発表すると、翌08年にはアプリケーション配信サービス「App Store」を開設している。スマートフォンやタブレット端末用のアプリケーションも、iTunesと同様の仕組みにより爆発的に普及してきたわけだ。
自動車はもはや、新しいコンピューティングのためのプラットフォーム(基盤)になった。これを「ACP(Automobile Computing Platform)」と呼んでいる。ACPが普及するに伴って、自動車車内で利用するインフォティメント用アプリケーションが開発されてくる。それらは、iTunes同様の仕掛けで流通するようになるであろう。
ITマネジメントのサポートサービス会社であるSolutions by Design(SBD)の調査によると、自動車のネット接続によって生まれる車向けサービスの市場規模は全世界で、12年に170億ドル(約1兆7000万円)だったものが、18年には530億ドル(約5兆3000万円)にまで成長すると予測されている。
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