[シリコンバレー最前線]

自動車メーカーがシリコンバレーに研究開発拠点を開設する理由

2013年8月22日(木)山谷 正己(米Just Skill 社長)

世界中の自動車メーカーが改めて、ハイテクの本場であるシリコンバレーに研究開発拠点を開設し、活動を強化している。半導体チップやクリーンエネルギーなどの技術協力体制の確立と、ソフトウェアを中心としたエンジニアの確保が目的だ。

安全・安心のための法整備が不可欠

ただ、自動車用のアプリケーションにおいては、iTunesのように一私企業が流通を担うのは難しい。例えば、人と車のインタフェースになるタッチパネルも、運転手の注意力を撹乱するような装備だとも言えなくない。自動車事故の20%は走行中の携帯電話類の使用による不注意が原因であるとされる。自動車メーカーは、安全な車の設計に腐心する一方で、運転しながらタッチパネルの操作に夢中になる人が増えることを計算に入れているのであろうか。

プライバシーや管理社会への懸念もある。車がGPS(全地球測位システム)を搭載しインターネットにつながるようになれば、どの車が、いつ、どの経路を、どんな速度で走行していたかが、通信キャリアあるいは自動車メーカーには丸見えになってしまう。こうしたデータを使えば、制限速度を超えて走行する車を検知し、警察に自動通報することは不可能ではないだろう。

将来の自動運転にしても、事故発生時の責任の所在など、考えるべき課題は少なくない。ACPの普及においては、テクノロジーの進化と歩調を合わせた法整備も不可欠である。

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