現地メディアの報道から、韓国IT業界の最新動向をピックアップしてお届けする。
国連、政府クラウドの優秀事例として韓国政府の電算センターを紹介
アイニュース 2013年12月2日
国際連合の傘下組織が、情報資源を統合管理するために韓国政府が運用している「政府統合電算センター」を、政府のクラウド利用分野の優秀事例として紹介した。傘下組織とは国連貿易開発会議(UNCTAD)。発刊した「情報経済レポート2013(Information Economy Report 2013)」において、同センターを「政府の基盤施設の投資効率を向上し、情報システム管理環境の改善と安全性確保に成功した例」として取り上げている。
特に情報資源の効率的な管理によるコスト削減、センターのエネルギー効率の高さ、サイバー攻撃への対応能力を評価した。同時に韓国政府の専用通信網である「コリアネット(K-net)」や、自動化が特徴の「統合運用システム(nTOPs)」、「統合セキュリティ管理体系(e-ANSI)」にも言及。韓国の情報資源統合はクラウドに不可欠なネットワーク連携性とデータセンター運用性に優れると報告している。
政府統合電算センターは、政府部処(省庁に相当)が必要とするIT機器やソフトウェアを一括購買して共通の設計を施し、共同利用できるように設けられたデータセンターである。以前に比べ30%以上のコストを削減しており、以前は67分だったシステムの月平均トラブル時間を3.04秒に減らす成果を上げている。
安全行政部(総務省に相当)の担当者は「評価をきっかけに輸出品目として電子政府を積極的に広報していく。政府間の協力事業を活用し、途上国における政府クラウド導入を積極的に支援したい」と語った。なおUNCTADは、1964年に開発途上国の産業化と貿易増進を目的とする国際機構として設立され、国際貿易に関連する効果分析および政策研究などを遂行している。
韓国のヘルスケアソフト、米国の遠隔医療専門企業に輸出決定
アイティーデイリー 2013年12月4日
ヘルスケア大国の米国に韓国製ソフトの輸出が決定──。韓国のインソン情報は、米AMCヘルスケア社に対し、ヘルスケアソフトウェア製品「Hi-Care Smart」を供給することを明らかにした。契約額は9億KRW(約9000万円)。医療や健康関連分野のソフトウェアが米国に輸出されるのは初めてだ。
「Hi-Care Smart」は、スマートデバイスを生かしたソリューションである。糖尿病や高血圧などの慢性疾患を予防できるよう、例えば血圧や血糖値、体脂肪などの測定データをスマートデバイスで取得。医療関係者と個人をリモートで接続して相談できるようにする。個人は病院に行かなくても自宅で健康相談を受けることができる。血圧、血糖値測定器のほか様々な医療機器と連動可能で、測定/服用通知などユーザーに配慮した様々な管理機能を搭載しているのが特徴だ。
米AMCヘルスケア社は遠隔医療・健康管理の専門業者であり、保険会社、在宅ケアや医療機関と連携して健康関連サービスを提供している。そのサービスにHi-Care Smartを活用する。
一方、米通信企業の1社であるベライゾンが自社のスマートフォンやタブレットに「Hi-Care Smart」を基本搭載する予定である。インソン情報によると、既存の取引先である欧州やオーストラリア、東南アジアの通信企業にもHi-Care Smartの供給を推進していく。
同社は「ソフトウェアだけでヘルスケア事業展開が可能であることが証明できたことに意義がある」と評価し、今後は各地域特性に適合するモデルを作りながら海外のヘルスケア事業を進行する計画である。
韓国と英国が電子政府を共同推進、新たにMOU(覚書)を締結<
マネートゥデイ 2013年12月11日
安全行政部は英国の内閣事務所 (Cabinet Office)との間で「韓-英、電子政府協力MOU」を締結したことを明らかにした。英国側が韓国の電子政府構築のノウハウと技術協力、その延長線上にあるオープンガバメントを希望してきたことがきっかけ。前号の本コラムで取り上げた、公共データのオープン化に関する覚書に続くものだ。
英国は2013年10月、「オープンガバメントの行動計画2013-2015」を発表。同時に1万3000種の公共データを開放するなど、オープンガバメントを優先課題として推進している。MOUを通じ、両国はオープンデータの推進はもとより電子政府サービスの標準化(標準フレームワーク)、それに関連する知識の共有、人材交流などを主要協力事業として実施する。
安全行政部は「今まで東南アジア/中南米/CISの国家が中心だった電子政府の国際協力が、今回のMOU締結によりEU圏に拡大され、韓国の電子政府モデルがグローバル基準と位置られる可能性が高まった」と期待している。
ビッグデータにおける個人情報保護、ガイドライン完成にメド
デジタルデイリー 2013年12月18日
ビッグデータの拡散に対する利用者保護に向けた「ビッグデータ個人情報保護ガイドライン(案)」が、様々な業界や専門家の意見を反映した上で完成のメドが見えてきた。
先頃、放送通信委員会はガイドライン(案)を初めて公開した。ビッグデータに含まれる個人情報の活用と保護について、目的と定義、公開された個人情報収集、組み合わせ・分析・処理、保存・管理、抵触情報の生成禁止など、12条項から構成される。同委員会は「ガイドラインで規定していない事項は“情報通信網の利用促進及び情報保護などに関する法律”と“個人情報保護法”など関連法律の適用を受ける」と説明し、「個人情報の範囲は、技術の発達に伴い変わりつつある」と語った。
この発表後、関連する討論会が開催され、各界の専門家から様々な意見が提示された。以下は、その意見のポイントをまとめたものである。
- 通信企業:ビッグデータの活用は個人の利便性を向上させる半面、監視や社会問題との絡みで活用に批判的な面が強調されている。しかし米国や日本などはビッグデータ関連のガイドラインとプライバシ自体を商品化する動きを見せている。韓国としても今回のガイドラインで活用を推進するべきであり、それにより社会/文化的な変化を期待することができる
- 消費者団体:個人情報保護の観点では(ガイドラインから)恐ろしい感じを受ける。ビッグデータにおける個人情報保護ガイドラインというより、ビッグデータのユーザーガイドのようだ。第3条の個人情報収集に関する条項では、サービス提供者は情報主体の同意なしで個人情報の収集ができると定義している。しかしSNS上で個人が公開した個人情報範囲に対する、より明確な明示が必要であると考える。特に児童や未成年者が公開した個人情報については、真実性の区分が難しいのでこの点も考慮する必要がある
- 大学教授:ビッグデータ活性化のためには、その流通が重要である。同時に個人情報保護のために唯一性、同一性、連続性などを考慮して、個人を非識別化すべきである
- 弁護士:個人情報は、個人尊厳の核心的な指標である。ゆえに活性化と情報保護間の均衡的な調和を維持することが重要である。特にSNSに誰にも閲覧できるよう個人情報を公開した場合、この情報をどの事業者が営業的な目的で使用するよう許可するかは重要な検討課題になる
ソウル市教育庁、市内の学校PCをクラウドに移行し2014年から順次導入
聯合ニュース 2013年12月24日
ソウル市の中学・高校で授業に使われているPCを、クラウドに移行する──。ソウル市教育庁は、現在「学校コンピュータ教育室クラウド構築」事業を進めており、2014年以降に新設される学校から順次導入する予定であることを明らかにした。本庁の電算センターに中央サーバーを位置させ、特に新設校のコンピューター教育室にはモニターとキーボードのみを設置することで、情報を共通的に利用させるのが骨子だ。
これにより教師や生徒はソフトウェアを自分のPCにインストールする必要がなくなり、データも簡単に共有できるようになる。中央サーバーに保存してある情報をノートPCやスマートデバイスなど、自分のITデバイスからいつでもどこでも利用できるようになるのだ。電算センターの中央サーバーが最新仕様の仮想PCを提供するので、学校は古くなったPCを代替する必要もなくなる。PCを管理する費用も大幅に減らすことができ、エラーについても遠隔支援で解決できる。中央でサーバーを集中的に管理するので、セキュリティレベルも強化されることが期待できる。
教育庁の関係者は、「まずコンピュータ教育室の使用頻度が低い中学・高校に優先導入して実証実験し、その後は放課後の授業でPC授業を行う小学校にも適用していく」と計画を説明した。ソウル市内の図書館でも2014年3月から実証実験を始め、拡大していく。ソウル教育庁はシステムが安定し、セキュリティレベルが確認されれば、教育行政業務や会議の進行でもスマートデバイスを活用したクラウドを導入することにしている。
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