[事例ニュース]

すかいらーく、約3000店舗のPOSデータ分析基盤をAmazon Redshiftで構築

2014年3月3日(月)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

すかいらーくグループは2014年3月3日、POS(Point of Sales:販売時点管理)データを分析するための基盤を、AWS(Amazon Web Services)が提供するDWH(Data Warehouse)のクラウド・サービス「Amazon Redshift」を使って構築したと発表した。2014年1月から順次稼働させている。POSデータの処理時間が、これまでの2日から数十秒にまで短縮できたという。AWSのパートナー企業であるクラスメソッドが設計・構築を支援した。

 すかいらーくグループが構築したのは、各店舗の販売履歴であるPOS(Point of Sales:販売時点管理)データを分析するためのクラウド・システム。国内に約3000ある店舗は年間、約4億人が利用し、数十億件規模のデータが発生する。これに、地図や天気、クーポンといった周辺情報を組み合わせて分析することで、メニュー開発やプロモーション施策の開発に利用する。

 同社マーケティング本部インサイト戦略グループ ディレクターの神谷 勇樹 氏によれば、すかいらーくは現在「勘と経験を重視したメニュー開発やプロモーションから、事実とデータに基づいた科学的手法を取り入れた方法に変革を進めている」。そのために、POSデータなどをベースにした大規模かつ多様なデータを分析するための基盤構築を急いでいた。

 今後は、仮説検証型のデータ分析を短いサイクルで繰り返せると期待する。具体的には、レシート単位の売り上げ分析のほか、商品の併売率や商品組み合わせによる粗利(バスケット粗利)、チラシなどの販促施策の費用対効果、時間ごとの店舗稼働率、顧客の滞在時間などを分析する。

 DWH(Data Warehouse)の基盤には、AWS(Amazon Web Services)のDWHサービスである「Amazon Redshift」を採用した。各店舗とは仮想私設網のサービスである「Amazon VPC(Amazon Virtual Private Cloud )」で接続。各店舗のPOSデータはいったん「AmazonS3(Amazon Simple Storage Service)」に格納し、一定時間ごとにRedshiftに取り込んでいる。

 分析結果の可視化ツールには、米Tableau製の「Tableau Server」と「Tableau Desktop」を利用する。より早くデータを可視化・分析できるという。これらの組み合わせにより、検索応答速度は当初予定の数十倍にまで向上。システム全体として、これまで2日間掛かっていた処理を、数十秒単位にまで短縮できたとする。

 AWS上のデータ分析基盤の設計と構築支援は、AWSのパートナー企業であるクラスメソッドが担当した。すかいらーくから構築に関する依頼を受けてから約約1カ月で構築し、稼働させた。今後のクラウド環境の運用および監視もクラスメソッドが担当する。

 すかいらーくのコーポレートサポート本部情報システムグループの川原 敏 氏は、AWSを選択した理由について、「システム構築期間が短くクラウド・サービスの利用は必然だった。クラウド・サービスの内容は、事業者ごとに異なるが、AWSの機能の豊富さと柔軟性を評価した」と説明する。結果、AWSの利用方法に詳しいクラスメソッドに設計や構築支援を依頼したという。

 

プロジェクト概要

 

ユーザー名 すかいらーくグループ
業種 飲食業
導入システム DWH(Data Warehouse)のクラウド・システム
導入目的 約3000ある店舗のPOS(Point of Sales:販売時点管理)データに、地図や天気、クーポンなどの情報を加味し、事実とデータに基づく科学的手法によるメニュー開発やプロモーション施策の立案を可能にするため
導入時期 2014年1月から順次
主な利用製品 DWHサービスである「Amazon Redshift」と仮想私設網サービスの「Amazon VPC(Amazon Virtual Private Cloud )」、およびストレージ・サービスの「AmazonS3(Amazon Simple Storage Service)」(いずれもAWS製)。分析結果の可視化ツールとして「Tableau Server」と「Tableau Desktop」を利用(米Tableau Software製)

 

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すかいらーく / 外食 / POS / Redshift / AWS

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