今日の情報システムは企業を支え、ビジネスを戦略的に遂行するための武器でもあります。その構築・実現を担うIT人材の育成は、あらゆる企業にとっての最重要課題にほかなりません。本連載では、企業のITリーダー=IT戦略・情報システム責任者が、いかにしてIT人材育成・活用を推し進めていけばよいのかを掘り下げていきたいと思います。
IT部門が「ビジネス部門の下請的存在」になっていないか?
企業の情報システムの企画・構築・運用を担うIT部門は、単なるコストセンターではなく戦略部門として、人材戦略、特にIT人材の育成を推進する必要に迫られています。そのためには、まずは、ビジネス部門や情報システム子会社、ITサービス企業との関係も含めて、IT部門みずからの「役割」を明確にする必要があります。
例えば、IT部門とビジネス部門が一体となって取り組む関係を構築できればば、ビジネス上の課題を解決するために、ソフトウェアやハードウェアを組み合わせた新しい発想が生まれ、ビジネス部門が想像もしなかったような素晴しいシステムを実現できる可能性が高まります。
逆にIT部門が、ビジネス部門が要求することだけをこなす下請けのような位置づけであればどうでしょう。インフラとアプリケーションの管理だけに力を入れることになり、コストセンターとみなされ、業務の多くがアウトソーシングの対象になるなど、存在価値が問われることにもなりかねません。
「ビジネス部門の戦略パートナー」としてのIT部門
IT部門の人材育成とは、「ビジネス部門の戦略パートナー」としてのIT部門を目指す取り組みと言い表すことができます。そこに向かうためにも、CCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)に代表されるスキル標準を活用して、IT部門の現状の「機能」や「スキル」がどの段階にあるかを明確にし、ゴールと現在の立ち位置を認識することが重要です。
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