[河原潤のITストリーム]

「エンタープライズDevOps」は広がるか―CAが挑む開発・運用の双方向アプローチ:第44回

2014年6月6日(金)河原 潤(IT Leaders編集部)

ビジネスのスピードに呼応すべく、開発チームと運用チームが密に連携し合うことで、迅速なアプリケーションの開発と継続的なインテグレーションを目指すDevOps。両者の高い壁を破るこの方法論は、開発者が社員の半数以上を占めるような先進テクノロジー企業だけのものなのでしょうか。先ごろCA Technologiesが発表したDevOps戦略を取り上げて、“エンタープライズDevOps”の要件や可能性について考えてみます。

CA LISA Release Automationの特徴

 CA LISA Release Automationの特徴として同社が挙げているのは、(1)マニフェスト駆動型のアプリケーション・デリパリー、(2)直感的なグラフィカル・ワークフローエンジン、(3)アクションパックとプラグインの3つです。

 (1)のマニフェスト駆動とは、汎用モデルとデプロイメントデータを分離することで、あらゆるデプロイメントタイプに対しても再利用可能な「汎用リリースモデル」を用いたデリバリーの仕組みを指しています。また、(3)のアクションパックには、例えば、「このアプリケーションはWebLogic Serverに対してどのような動作を行うか」といったシナリオが約900種類(主要なエンタープライズアプリケーション、ミドルウェアおよびインフラサービスを網羅)収録されており、開発者はスクリプトを書かずに目的の実装が行えるのがメリットになります。

 発表会の終盤には、「アプリケーションの開発からデリバリーに至るまでの期間が2.5日から20分に短縮され、年間480万ドルのコストを削減」(オンライン小売)といった、欧米企業での導入効果が数社示されました。欧米においては、大手を中心にエンタープライズDevOpsの成功事例がすでに多くあり、しかも着実に増えているようです。

「DevからOpsだけでなく、OpsからDevのアプローチも用意」

 さて、今回の発表会では概要の紹介にとどまりましたが、ITサービスマネジメントのベストプラクティス「ITIL」の推進で実績豊富な、“運用管理のCA”ならではの製品と呼べるのが「CA APM」です。同ツールの導入によって、アプリケーションの運用担当者は、得られたパフォーマンスレベルやその推移などを、運用からのフィードバックとして開発に渡すことが可能になるわけです。

 「DevからOpsだけでなく、OpsからDevのアプローチも用意して、開発のライフサイクル全体をバランスをとりながらカバーするというのが、CAにおけるDevOpsの定義である」(渡辺氏)。

 とかくDev側の取り組みばかりが先行しがちな中で、CAのアプローチはDevOpsの理想に近いのですが、こと日本企業において、DevとOpsの壁は、双方が持つマインド的なものも含めてまだ相当に高いと思われます。エンタープライズDevOpsが今後広がっていくかどうか、この先の国内事例の発表を待ちながら動向を追ってみたいと思います。

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