欧米のIT企業の動きは激しく、事業の集中と重点分野への投資を強化している。ビジネスとITの距離が、ますます近づいている今、欧米のIT企業の動きをみることは、利用企業としても欠かせない。今回は、最近のトピックスを交えながら、ITの大きな流れをとらえ、クラウドの動向を見ていこう。
「米IBM、半導体製造を譲渡し構造改革を急ぐ。人工知能型コンピューター (Watson)など付加価値の高い事業に経営資源を集中させる」−−。最近、こんな発表があり、メディアの紙面を賑わせた。
構造改革の原因としてIBMは、ハードウェアの減収、米Amazonや米Googleといった新興勢力との競合激化を挙げている。そこから、クラウドと人工知能を重点分野に決め、IaaS(Infrastructure as a Service)基盤であるSoftLayerを中心とするデータセンターに1200万ドルを投資し、クラウドサービスを強化。Watson関連には新しい事業分野を拡大するために100万ドルを投資する。
クラウド化の進展により、コンピューティングパワーはもはや、機器を買って準備するものではなく、クラウドを利用して“使う”ものになった。機器を購入するのは主にクラウドサービスのプロバイダーであり、市場は大きく変わっている。
この状況下で、ITベンダーがクラウド関連で成長を実現するためには、クラウドサービス・プロバイダーに機器やソフトウェアを販売するか、自らがそれらを使ってクラウドサービス・プロバイダーになりクラウドサービス競争の中で勝ち抜く、あるいは新規事業によって新しい収益源を作り出さなければならない。
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