2020年を見据えた「グローバル企業のIT戦略」を取り上げる本連載。IT戦略における日本と世界の差異を見極めるための観点として、ビッグデータ(Big Data)の目的や特長、手法、活用シナリオと可能性、課題点、そして、あるべき姿について考えている。前回は、ビッグデータの処理プロセスとデータの分類を考えてみた。今回は、ビッグデータが経営にインパクトを与える要件について、事例を参照しながら考えてみよう。
新聞やテレビといったマスメディアでも、ビッグデータというキーワードを冠したがついた記事や番組が増えている。「選挙ビッグデータ」「震災ビッグデータ」「医療ビッグデータ」などである。それほど、ビッグデータへの関心が高まっているとも言えれば、実際にどう利用すれば良いのかがまだまだ不透明なのが現状だとも言える。
新たな発見だけがビッグデータの価値ではない
ビッグデータを使って我々は何を把握したいか?答えの1つは、「ビジネスに貢献するものは何か」である。もう1つの答えは、「予期せぬことを事前に知る」ことだ。そのためビッグデータには、“何か新しい発見”を期待する向きが強い。
だが、例え新たな発見がなくても、これまでは“現場感覚”でしか分からなかったアナログ情報が、デジタルデータとして可視化されるだけでも大きな価値があることの理解が重要だ。可視化による新しい“気付き”から、新たな対策につながる可能性が十分にあるためである。

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特に「ビジネスに貢献するもの」においては、いきなり大ヒットを当てることは難しい。可視化を含め小さなヒットを狙うことになる。一方、「事前予測」では、可視化が大きな意味を持つ。インシデント(現在起こっていること)を的確に把握し、流れの変化を予測し、そして異変を予見することでトラブルを未然に防ぐのだ(図1)。
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本連載『2020年を見据えたグローバル企業のIT戦略』の第1回〜第12回が「クラウド、GRC編」として、IT Leadersの電子書籍『IT Leaders選書』になりました。お手元でじっくりとお読みいただけます。こちらから、どうぞ、お買い求めください。
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