電子情報技術産業協会(JEITA)が、「国内企業の『攻めのIT投資』実態調査」の結果を発表した。CIOやIT部門長ではなく、経営層や事業部門のマネジャー層など“非IT部門”のビジネスパーソンにIT投資やIT活用の姿勢を聞いている。類似の調査はほとんどない。ITの利用者とされる人たちは、ITおよびIT投資をどう見ており、それは企業にどう影響しているのだろうか?
一方、自社におけるITの推進役を聞くと、「極めて積極的」との回答の中で最多だったのは「社長/CEO」の43.5%。次いで「事業部門の責任者」が21.7%、「CIO」は17.4%という順である(図6)。さらに「経営計画にIT投資の方向性を明示している」「回答者がIT投資に関与している」という割合も、ITに積極的な回答者ほど高い傾向が明らかだ(図7、図8)。
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これらの結果から導き出される示唆は、経営層や事業部門リーダーのITに対する姿勢や意欲がとても大事だということだ。そのことがITを活用した事業計画につながり、最終的には売上高や利益の増加につながっていく。
同委員会の谷口浩一委員(日本IBM)は、「(ITへの積極性と業績の関係を示した)今回の結果を、『業績がいいから(余力が生まれて)ITにも意欲的』と見ることも不可能ではありません。しかし、経営計画へのITの位置づけなどを見ると、そうではないことが分かります。経営トップや事業部門長のITへの関心・関与は、業績に大きな影響があると言えます」と分析する。
本誌の人気コラム『木内里美の是正勧告』に「システム丸投げの始まりは、経営者にあり」」という記事がある。そこで木内氏は、経営者が関心を持つだけで、企業の情報システムやIT部門の位置づけは様変わりすると指摘する。JEITAの調査も同様の結果である。
上の記事では、経営者が関与しないとIT部門は“抵抗勢力”になるとされている。だが、もし自社の経営層や事業部門の関与が不十分と感じるのなら、CIOや情報システム部門は、ITの価値や利活用について自社内でのコミュニケーションや宣伝/PR、つまりITのマーケティング活動に、もっと力を入れる必要があると言えるだろう。