長野県を拠点とする地方銀行の八十二銀行(湯本昭一頭取)は、行内での利用を想定して構築・運用しているデスクトップ仮想化基盤(VDI)を拡張し、営業担当者などが行外からでもアクセスできるようにし、2015年5月25日から利用を開始した。営業力の強化や業務の効率化を図る。構築をサポートした日本IBMが発表した。
八十二銀行が利用を始めたのは、「行外用仮想デスクトップ」環境。すでに稼働している「行内用仮想デスクトップ」を拡張したもので、端末の接続状況を自動判別し、行外からアクセスした場合は利用できる業務と機能を制限することでセキュリティを高めている。システム側で自動的に判別するので、営業担当者は接続環境を特に意識することなく行内と行外で業務を遂行できるという。
行外用仮想デスクトップ端末の利用者数は、現時点では個人向け渉外担当者の約500人。今後は法人向けの担当者に拡大する。紙の資料の準備が軽減されるなど、営業活動の時間を有効利用できることから、営業力強化や業務効率化につながると、同行は見ている。
八十二銀行の行内用仮想デスクトップは、本部サーバーに処理を集中させ、クライアント端末からは入力や表示の処理だけを実行する仕組み。これを今回、IBM WebSphere Portal、IBM Notes/Domino、IBM Security Access managerなどの機能を組み合わせて拡張。行外から利用する際には利用できる業務や機能を自動的に制限できるようにした。
アプリケーションやデータを端末で保持しない仮想デスクトップ方式なので、セキュリティには当初から配慮している。行外からのアクセスにおいては、パスワードによる保護やMDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)の仕組みを導入すれば、それ以上の制限は不要にも思える。だが今回は、万一に備え、行外から利用できる業務システムを制限した模様だ。
実際、主たる利用者として想定する営業担当者は、各種金融商品の販売用資料を提示するだけでなく、顧客の取引状況をタブレット端末から確認して適切な商品を提案する。顧客個々の取引状況や残高を閲覧できるので、念を入れた格好だ。デスクトップ仮想化基盤(VDI)として一括運用できため、運用効率も高いとしている。
【プロジェクトの概要】 | |
ユーザー名 | 八十二銀行 |
事業内容 | 金融業 |
導入システム | 行内用に構築していたVDIへ行外からアクセスするための仕組み |
導入目的 | 紙の資料の準備時間の軽減など、営業活動時間の有効利用を図ることで、渉外担当者の営業力の強化や業務の効率化を図る |
主な利用製品 | IBM WebSphere Portal、IBM Notes/Domino、IBM Security Access managerなど(いずれも日本IBM製) |