IDC Japanは2015年8月10日、2014年の国内企業の外付型ディスクストレージシステム製品への投資(支出)動向と2015年~2019年の予測の調査結果を発表した。産業別動向を見ると、金融がトップで投資額が3年連続で増加している一方、官公庁と通信/メディアは前年比2ケタの減少となっている。
IDC Japanの発表によると、国内企業における2014年の外付型ディスクストレージシステム支出額は1866億1300万円(前年比2.6%減)となった。同調査の結果は、主要10産業分野(金融、製造、小売/卸売、情報サービス、通信/メディア、教育、官公庁、医療、公共/公益、その他)ごとに動向がまとめられている。
調査結果によると、2014年は、これら10産業分野のうち6産業分野が前年比プラス成長となっている。上位の産業分野別の支出額構成比を見ると、金融が20.5%、製造が17.4%、官公庁が15.0%、通信/メディアが11.1%で、金融が前年より1.4ポイント上昇し、3年連続でプラス成長となり、製造が0.1ポイント、官公庁が2.9ポイント、通信/メディアが2.7ポイント低下している。なお、官公庁と通信/メディアは、前年の大型案件の反動もあり前年比2ケタの減少という結果になった。
IDCでは、2014年~2019年における国内外付型ディスクストレージシステム市場の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を1.5%と予測。産業別でトップ支出の金融については、2015年以降もシステム統合・刷新等を背景とした堅調なストレージ支出が見込まれ、予測期間を通して最大の支出分野であり続けると同社は見ている。
一方で同社は、2014年は大幅減となった通信/メディアについて、2015年以降はモバイル関連の投資や、通信事業者のITインフラ強化/拡張によって、ディスクストレージシステムへの支出が増加する見通しを示している。また、向こう5年間は、「あらゆる産業分野で独自のビッグデータやビッグコンテンツ、IoT(Internet of Things)関連データが増加すると予測され、外付型ディスクストレージシステム支出を促進することが期待される」とする。
IDCは、国内企業のIT基盤への投資がクラウド、モバイル、ソーシャル技術、ビッグデータ/アナリティクスで構成される「第3のプラットフォーム」へシフトし、この動きがディスクストレージシステムへの支出にも影響を与えるとの見解を示している。この点についてIDC Japan ストレージシステムズ シニアマーケットアナリストの高松亜由智氏は次のように分析している。
「新たなビジネス価値の創出を目的とした第3のプラットフォーム上で形成される産業特化型ソリューションでは、大量のデータ/コンテンツの保存、分析、活用が重要な柱となる。ストレージサプライヤーにとっては、産業分野別展開を強化し、産業特化型ソリューションで必要とされる、ストレージ機能やストレージソリューションの整備に注力していくことがビジネス獲得には必須となる」(高松氏)
今回の発表はIDCが発行したレポート「国内ディスクストレージシステム市場 産業分野別 2014年の分析と2015年~2019年の予測」(J15520102)で詳細が報告されている。