「ノマドワーカー」なる言葉を耳目にする機会が数年前から増えている。背景には、モバイル端末やネットワーク環境、そしてクラウドの進化がある。仕事の効率やスピードを上げていかなければならないのはどの企業にも共通の課題。この動きを積極的にサポートしていく必要があるのではないか。
4、5年前から「ノマドワーカー」が話題になっている。ノマド(nomad)とは1つの土地に定着することなく、牧畜を伴いながら牧草地を渡り歩いて生活する遊牧民や放浪者のこと。そんな遊牧民のようなスタイルで働く人をノマドワーカーと呼ぶ。明確な定義はなく、一般には決まったオフィスを持たずに働く環境を求めて転々と移動しながら仕事をする人たちを意味するようだが、2つの捉え方がある。
1つは特定の企業や組織に属しないフリーランスである。個人事業主や自由業、具体的にはライターやデザイナー、コンサルタント、ミュージシャン、作家、エンジニアなど幅広い職業に携わっている人々がいる。これらの人のうち、特定の仕事場を持たずにカフェでも公園でも訪問先でも仕事を遂行する人をノマドワーカーと言い、その仕事のスタイルをノマドワーキングと言っている。
もう1つは会社や事務所などに所属して固定の仕事場を持ちながら、PCやモバイル機器を駆使して効率よく仕事をこなしている人たちである。かつては“どこでもオフィス”とか“モバイラー”などとも称されていた。社内のフリーアドレス・ワークスタイルは、ノマドスタイルの始まりのようなものだろう。
モバイルが変えていくワークスタイル
後者の組織人としてのノマドワーカーは、ダイアルアップネットワーク接続ができるようになった1990年代の前半にすでに存在したが、まだ少数派だった。モバイルPCで場所を問わず仕事をしている人が本格的に増えたのは2000年代後半以降だろう。
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