2020年の実用化を目指して車の自動運転に焦点が当たっている。自動運転を自動車の機能強化と考えるのか、自動車の構造そのものの変革の契機ととらえるのか、あるいは移動・運送手段の変革に結びつくものととらえるのかでは、その変革に対するアプローチは異なり、期待成果も大きく違ってくる。今回は、自動車の自動運転を例に、人工知能とIoT(Internet of Things:モノのインターネット)による変革を考えてみたい。
国土交通省が2020年初頭に車の自動運転の実現を目指すロードマップを示し、政府を中心に「自動走行システム」の国家プロジェクトを立ち上げた。同プロジェクトは2020年後半までに「完全自動走行」の実現を目指す。これに向けて自動車業界各社の動きは盛んで、様々なアナウンスが続いている(表1)。

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自動運転は様々な技術が複合して可能になる。カメラやレーザー光センサー、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)などからの情報によって周囲の環境を認識し、地図や交通ルールを基に人工知能が判断して車を操作する。
センサーの技術も大事ではあるが、それらの情報を基にリアルタイムに走行判断を下す人工知能が大きな役割を果たす。そのため、人工知能分野で高い技術力を持つNASA(National Aeronautics and Space Administration:米航空宇宙局)や米MITのCSAIL(Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory:コンピュータ科学・人工知能研究所)、米スタンフォード大のSAIL(Stanford Artificial Intelligence Laboratory:スタンフォード人工知能研究所)との提携も進んでいる。
実用化に向けた技術開発と法整備が進展中
NHTSA(National Highway Traffic Safety Administration:米国運輸省道路交通安全局)は、自動運転のレベルを以下のように定義している。
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