[中国電脳事情]

【中国電脳事情セレクション】「ポケモンGO」が香港に上陸、台湾での配信は未定、ほか

2016年8月5日(金)足立 治男

中国メディア各社の報道から、IT関連の最新動向を紹介する「中国電脳事情」。1カ月間に報じられた主要なニュースから重要なものをピックアップしてお伝えする。

「ポケモンGO」が香港に上陸、台湾での配信は未定

―蘋果日報(Apple Daily台湾)ほか(2016年7月28日)

 2016年7月25日、話題の「ポケモンGO」(Pokémon GO、中国語でポケモンは「精霊宝可夢」と表記)がついに香港でのアプリ配信を開始した。先にAndroid版の提供から始まり、その後、iOS版の提供が始まった。実は、香港ではそれまでもポケモンGOのモンスターが街中に出現しており、米国のサイトから米国版をダウンロードすることでポケモンGOを遊ぶことができたという。

 このほか、7月25日の時点では、マカオや台湾では配信されておらず、ネットユーザーたちは首を傾げているが、マカオにおいては「マカオは長年、マネーロンダリングのブラックリストに入っているので、PayPalなどの第三者決済サービスが提携を拒否している」との説が飛び交っている。

 また、台湾については別の事情があるようだ。台湾の弁護士である王信氏が、ポケモンGOの開発元である米ナイアンティック(Niantic)が2013年にリリースしたグーグルの位置情報ゲーム「Ingress」に対して、特許侵害を理由に訴訟を提起していることが影響しているという。

 この王氏は、プログラミングの技術を習得後、大学で法学部の修士課程在学中に位置情報ゲーム「黑金政治網路大富翁」を開発し、その後2006年には同じく位置情報ゲーム「真實世界之網路遊戲」を開発し、双方のゲームシステムに関する特許を保有しているという。

 王氏は、「Ingress」のシステムはこれらのゲームに酷似しており、氏が保有する特許の侵害だという。王信氏は「私のことをパテントトロール(patent troll)と呼ぶ人が居るが、私が保有する特許は、私が自らプログラミングして開発したゲームなので、その批判は的外れだ」とした。そのうえで、「私も早くナイアンティックと和解して、ポケモンGOの台湾リリースを早くしたいと願う」とのコメントを発表している。

中国の中堅携帯電話メーカーの3割がすでに廃業?

―北京商報(2016年7月1日)

 中国通信機器最大手のファーウェイを筆頭に、OPPO、vivo、金立(GIONEE)、小米など、中国のスマートフォンメーカー各社が国際的にも注目を集めている。だが一方で、大可楽(Dakele)や夏新(AMOI)など、かつての有力・中堅メーカーが軒並み倒産や工場閉鎖に陥っている。

 GMS方式を採用している通信事業者の業界団体であるGSMアソシエーションの主催で開催された「モバイルワールドコングレス(MWC)上海」(2016年6月29日~7月1日)

では中堅携帯電話メーカーの不参加が目立ったが、その多くは経営不振による携帯市場の撤退や倒産などによるものだ。

 中国情報通信研究院のエクゼクティブエンジニアである彭臻氏の報告では、2014年に中国の携帯電話メーカーは445社であったが、2015年には309社にまで減少し、1年間に136社も廃業した。同氏によると、年々競争が激化する国内市場において、どのメーカーが最後まで生き残れるかが業界関係者では密かな焦点となっているという。

 「自然選択、適者生存」に照らせば、数年前に国産携帯メーカーの低価格スマホが氾濫した当時から、現在の状況は予測されてきた。2011年頃、中国でスマートフォンが爆発的に普及した時には、伝統的な通信機器メーカーの他、多くのインターネット関連企業までも多額の投資をして市場参入し、雨後の筍のように新機種が登場した。この年、中国では実に4744機種ものスマートフォンが発売されたという。

 中国情報通信研究院の最新統計によると、2016年1-3月期に中国市場に投入されたスマートフォンの新機種は274機種に達した。これは新機種が1日平均3機種登場していることになるが、2013年には一年間で新機種が2288機種も投入されており、1日平均6機種で現在の約2倍の量となっていた。

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