日立製作所は2018年6月13日、東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)に設置した「ゲノム医科学用供用スーパーコンピュータ」を構築し、本格運用を開始したと発表した。全国のゲノム研究を加速するためのビッグデータ解析を支援する。
ゲノム医科学用供用スーパーコンピュータは、ゲノム分野に特化したスーパーコンピュータシステムとしては国内トップクラスとなる464TFLOPSの総理論演算性能を持つシステムである。研究者が大規模なゲノム解析を円滑に行うための利用基盤となるもので、全国規模のゲノム研究を加速し、ゲノム診断やAIの活用といった、次世代医療の実現を支援する。
ビッグデータ解析の高度化に向け、 AIやディープラーニングに適したGPGPUサーバー「NVIDIA DGX-1」を採用した。GPUの理論演算性能は、従来の1万8720GFLOPSから18万7200GFLOPSとなるなど性能が向上している。
ストレージは21PB増強し、従来システムの一部と合わせて、合計27PBの大容量ストレージを備え、膨大なゲノム情報の格納に対応している。さらに、従来システムから移行する対象データのうち、約6PBのデータを約2日間で円滑に移行し、移行期間中のストレージ負荷を軽減した。
同システムを設置したToMMoは、日本医療研究開発機構のもと、東北メディカル・メガバンク計画を推進しており、同計画において宮城県および岩手県を中心とした被災地を含む地域住民を対象として健康調査を実施するとともに、生体試料や医療情報などを収集してバイオバンクを構築し、ゲノム情報などとあわせた解析をしている。
ToMMoはすでに大規模なゲノム解析などを行うスーパーコンピュータシステムを導入し、2014年7月に本格運用を開始していたが、今回の更新時期に当たり、性能強化とともに、全国の研究者が利用環境を共有できるものへとシステムを刷新した。