RPA製品比較、そしてRPAより働き者と噂の「IPA」を先取り
2018年8月29日(水)清水 響子
マイクロサービス、RPA、デジタルツイン、AMP……。数え切れないほどの新しい思想やアーキテクチャ、技術等々に関するIT用語が、生まれては消え、またときに息を吹き返しています。メディア露出が増えれば何となくわかっているような気になって、でも実はモヤッとしていて、美味しそうな圏外なようなキーワードたちの数々を「それってウチに影響あるんだっけ?」という視点で分解してみたいと思います。今回は、RPAを検討するのであれば、ぜひこちらにも注目してもらいたいという概念「IPA(Intelligent Process Automation)」を取り上げます。
【用語】Intelligent Process Automation (IPA)
2016年来、急速に導入が進むRPA。働き方改革の波に乗り、いまやテレビやラジオでも取り上げられるほど身近なITソリューションです。導入の手軽さ、スケーラビリティ、何よりも費用対効果の見えやすさから、ベンダー、ユーザー両サイドに受け入れられやすかったのでしょう。
RPAは、本連載でも2017年6月に取り上げました(関連記事:今こそ押さえておくべき「RPA」ができること)。実際の処理を現場でプログラム化できるため、ユーザー部門から導入が進んだRPAですが、2017年9月にNTTデータが「大規模ユーザーからWinActorをサーバー上で一元管理・統制したいとの意見」に応えてサーバー上の管理ロボをリリースするなど、エンタープライズ利用へのシフトが見られます。
そこで、RPAと併せて注目、いやそれ以上に注目すべきなのが、米コンサルティングファームのマッキンゼー(McKinsey)が早々に提唱してきた「Intelligent Process Automation (IPA)」。RPAに業務プロセスの再設計と自動化、さらにAIを組み合わせた一連の技術セットを指す概念です。
RPA、BPMスイート、リモートデスクトップオートメーション、スクリーンスクレーピング、カスタムスクリプティングおよび関連技術を「IPA」と定義する米HFS Researchは、IPAの市場規模を2017年で62億米ドル、2021年には115億米ドル、ルールベースRPAとAIを含む市場全体では2021年に154億米ドルと見積もっています(図1)。Intelligent Automation、Smart Automationもほぼ同義で使われているようです。
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【イノベーション】ロボットに「脳」を
RPAすなわちデジタルレイバー(Digital Labor)は、人のPC操作を助けてくれる「手」のようなもの。人間が与えたルールに基づいてメールやWebの閲覧、コピペといった作業をトレースします。OCRを組み合わせれば「目」のように書類やデータを読み取ってくれます。でも、ロボット自身が自律的に仕事を考えついたり、より良い作業手順を見つけてくれたりするわけではありません。
これに対しIPAは、AIという「脳」をもつデジタルレイバーです。多くはエンタープライズニーズに応えるサーバー型RPAをベースにAIを組み合わせ、全ロボットの作業状況やログなどのデータを分析し、人間に判断基準を与えたり、ロボットに指示を与えたりします。
図2にRPAとIPAの動作イメージを示しました。工業ロボットが生産活動を、RPAがホワイトカラーの定型業務を支援するように、IPAはハイスペック人材の形式知化されていない高度な業務を支援すると期待されています。
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自動化と機械学習で基本プロセスを再デザイン
McKinseyはIPAを次世代業務モデルの中核エンジン(The engine at the core of the next-generation operation model)と位置づけ、基本的ビジネスプロセスの再設計を可能にする一連の技術としています。RPA単体でも相当な生産性向上が見込まれるとしつつ、IPA構成要素としてRPAを含む5つの中核技術をあげています。
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