日本マイクロソフトは2018年10月30日、説明会を開き、延長サポートの終了を迎えるWindows Server 2008やSQL Server 2008を新バージョンへと移行するための取り組みを説明した。Windows Server 2019が備える機能で、オンプレミスのファイルサーバーをAzure上のストレージと同期する機能などを紹介した。
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マイクロソフトが開発・提供するサーバーOSのWindows Server 2008、RDBMSのMicrosoft SQL Server
2008などが、2019年から2020年にかけて延長サポート
この問題に対する解決策として、日本マイクロソフトは、クラウドサービスのMicrosoft Azureや、新版サーバーOSであるWindows Server 2019の活用を提案している。
まずは、Windows Server 2008で構築してあるシステムを、そのままAzure上に移行するという選択肢を用意。Azureへの移行を促す施策として、Azureを利用する場合に限り、本来であれば2020年1月に延長サポートが終了するWindows Server 2008に対して、延長サポート終了後も3年間はセキュリティパッチを無料で提供する。
さらに段階が進んだ際の、Windows Serverの旧版を新版に置き換える選択肢も用意している。特に、Azureに全面移行できないユーザーに向けては、オンプレミス環境にWindows Server 2019を導入し、これをAzure環境と組み合わせて使うハイブリッド構成のクラウド環境を提案する。
オンプレミスのファイルサーバーとクラウドストレージを相互に同期
日本マイクロソフトが数百社のユーザー企業を対象にWindows Server 2008の用途を調査したところ、ファイルサーバー用途(25%)と業務アプリケーション用途(52%)が多くを占めた。
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これらをクラウドに移行する際には、課題として、ファイルサーバーにはネットワークを介したファイル転送や遅延の問題が、業務アプリケーションには運用管理やアカウント管理などの問題がある。
クラウドへの移行にともなって発生するこれらの課題を解決する手段として、オンプレミスのWindows Server/SQL Serverとクラウド(Azure)を混在させて使うハイブリッドクラウドが有効だと同社は主張する。Active Directory、データベース管理システム、ファイルサービス、クラウド運用基盤など、オンプレミスとクラウドの両方で共通の仕組みが動作する。
特に、ファイルサーバーをクラウドに移行する際の課題を解消する手段として、Windows Server 2019が標準で備えるクラウド同期機能である「Azure File Sync」が有効としている。オンプレミスのストレージとAzure上のストレージとの間で相互に同期をとり、互いをキャッシュしてレスポンスを高める、といった使い方ができる。データバックアップやDR(Disaster Recovery:災害復旧)サイトにも利用できる。
すでにオンプレミスに大量のデータを抱えている場合は、これを徐々にクラウドにコピーできる。さらに、ハードディスクを介してクラウドに物理的にデータを運ぶサービスとして「Azure Data Box」を提供する予定である。
記者発表会では、パートナー企業の1社であるソフトバンクコマース&サービスが、Azure File Syncのユーザー事例として、IT導入や働き方改革支援などのコンサルティング会社、ネクストリードの事例を紹介した。Windows Server 2019を導入し、Azure File Sync機能を使ってAzure Storageとの間で双方向に同期している。