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全日空のデータ統合プロジェクトが大賞に─JDMCがデータマネジメント受賞企業を発表
2019年2月28日(木)IT Leaders編集部
日本データマネジメントコンソーシアム(JDMC)は2019年2月28日、JDMC AWARD(データマネジメント賞)の受賞企業を発表した。同賞はデータマネジメントの観点から他の模範となり得る活動や取り組みを実践している企業・機関をJDMCが選び、選考して表彰するもの。2014年から毎年実施しており、今回が6回目となる。
2019年のデータマネジメント賞の受賞企業は表1のとおりである。
表1:データマネジメント受賞企業一覧(出典:JDMC)
データマネジメント賞 | 受賞企業 | 受賞理由 |
大賞 | 全日本空輸 | 全社データ統合基盤の構築と運用 |
特別賞 | 経済産業省 AI・データ契約ガイドライン検討会 AI・契約ガイドライン作業部会 | AI・データ利用のための契約ガイドライン策定の取り組み |
データ基盤賞 | トライアルカンパニー、 ティー・アール・イー | 流通情報革命を加速するデータ基盤 |
データ基盤賞 | リコー | デジタルツインを志向したデータ活用の取り組み |
アナリティクス賞 | ワークマン | 店舗と本部を横断したデータ駆動経営の実践 |
アナリティクス賞 | 独立行政法人 日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンスセンター | 個人競技におけるデータ・アナリティクスへの取り組み |
先端技術活用賞 | 京都機械工具 | 工具のIoT化による作業トレーサビリティの実現 |
年間を通じて総合的にすぐれた先進的な取り組みを表彰する大賞を、全日本空輸(ANA)が受賞した。多くの企業において重要なテーマである企業内に散在するデータを統合し、活用できるようにするために、ANAは、マイクロサービス(コンテナ)を活用して仮想的なデータベース(仮想DB)を構築した。
その仮想DBは、データアクセス層、ビジネスロジック層、プレゼンテーション層の3層構成であり、柔軟性と拡張性を確保している。データアクセス層の実体は既存システム群とつながるAPIとメタデータの集合であり、ビジネスロジック層からは統合DBに見えるようになっている。ANAのプロジェクトの詳細は関連記事:「企業データ基盤」はこう創る!─ANAの“顧客体験基盤”構築の要諦を参照いただきたい。
データ基盤賞は、九州エリアを中心にスーパーセンター型店舗を展開するトライアルカンパニーと、デジタル複合機などのICT製品大手のリコーの2社が受賞。トライアルは、マーチャンダイズデータを取引先と共有したり、”スマートレジカート”で販促したりするデータ基盤について、リコーは半導体製品のR&Dから量産プロセスに至るデジタルツインの取り組みが、受賞理由である。
データの収集以上に分析・活用に注力する取り組みを表彰するアナリティクス賞は、プロの職人向け作業服/関連用品の専門チェーンであるワークマンと、体操や水泳、陸上競技などいわゆる“ハイパフォーマンススポーツ”の選手をサポートする日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンスセンターがそれぞれ受賞した。
一方、先端技術活用賞は京都機械工具が受賞。同社は「KTCブランド」で知られるスパナやレンチ、プライヤーなどハンドツール(工具)のメーカーであり、2018年6月に工具を用いた作業の履歴を把握・管理する仕組みを提供開始した。これは、センサーとBluetoothを内蔵したアダプタを開発し、既存の工具をIoT対応のトルクレンチとして利用できるようにしたもの。人手に依存する機械の分解や組み立ても、データで可視化できるようにしたことがポイント。JDMCは「なかなか進まないと言われる中堅・中小製造業におけるIoT の推進やデータ分析の実践に関わるひな形となり得る」と評価している。
なお、受賞企業のうち、流通業でありながらテクノロジー企業を標榜するトライアルと、アウトドア/カジュアル向け衣料としても人気が高まるワークマンの2社は、2019年3月7日にJDMCが開催する年次コンファレンス「データマネジメント2019」において、リーダーみずからが登壇して取り組み内容を講演する。
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