[To-Be デジタルリーダー[ITリーダーとIT部門の明日の姿・役割]]
幾多の難題に立ち向かうITリーダー、IT部門のあるべき姿は?─LINE片野氏×クックパッド中野氏(第1回:前編)
2019年3月18日(月)河原 潤(IT Leaders編集部)
あらゆる企業の経営課題となったデジタルトランスフォーメーション。その潮流は、ITの高度活用で経営を支えてきたIT部門自身にも「転換」を要求している。IT部門、それを率いるITリーダーがこの先どうあるべきで、何を担って経営に資するのか──。自社での実践を通じてこのテーマに対峙するクックパッドのITリーダー、中野 仁氏と各社キーパーソンの対談を通じて明らかにしてみたい。第1回は、LINEの執行役員としてサービス開発と社内ITとを共に見る片野秀人氏との、忌憚なきトークを前後編の2回にわたってお届けする。(構成と写真:河原 潤)
■LINE 執行役員 Enterprise ITセンター センター長 片野秀人氏
■クックパッド コーポレートエンジニアリング部 部長 中野 仁氏
──最近はデジタル専任組織を置く企業も増え、IT部門のあり方がさらに問われるようになっています。この先、IT部門は何を担い、ITリーダーはどう組織を率いて活躍していくか。第1回目の対談としてこの連載のオーバービューになるようなお話をしていただければと思います。まず、お2人のバックグラウンドのお話から。
片野氏:私は2009年にライブドアに入社し、その時はサービスのインフラ部門を担当していました。社内の情報システムを担当するようになったのは約5年前です。会社の再編に伴って、経緯は少し複雑です。
まず、ライブドア、NHN Japan、ネイバージャパンの3社が法人統合し、そこからまたNHN PlayartとLINEに分かれました。LINEでは社内IT部門がなくて、色々な課題がありました。開発部門の立場からモノづくりに集中できる環境が必要と感じていて、うるさく文句を言っていたら自分がIT部門もみることに(笑)。最初は半年で足がかりを作って、だれかにバトンタッチしようと思っていたんですが、5年経っても変わらず担当しています(笑)。
一方で、サービス開発部門も兼任でみています。サービス事業会社として、サービス開発・運営があって、そのために必要な社内ITも一緒に考える、というのが僕の目線です。バックオフィスが管理目線ではなく、会社が提供するサービスのスピード・品質を上げるために、背中を押せるような環境をIT側からどうやって作るか。そのためにも、両方またがって見ることに意味があると思っています。
中野氏:私はもともと、システムとはまるで関係ないところに新卒で入り、3年ほど事業部門側で仕事をしていました。そのうち、システムも含めて仕組み作りをやりたいと思ってSIerに移り、外資系SIerも経験しながらITの世界に携わりました。そこから事業会社のシステム部門に移って運用の仕組み化を経験した後、クックパッドに来たという流れです。職種としては営業・技術・管理を一通りやってる珍しいタイプかも。
ここ2年は、海外展開を含めたシステム統合プロジェクトをガッツリやって、ようやく当初設定したゴールに到達したというところです。統合フェーズは何とか形になった。何年も考えていた仮説だったのですが、実際自分でやってみて7割くらい仮説は合っていたなぁという感じです。日本初の試み、いわゆる「人柱案件」も結構ありリスク高いは忙し過ぎるはで死にかけましたけどね。でも、「ラピュタは本当にあったんだ!」みたいな感覚がある(笑)。
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