[調査・レポート]
2020年の国内IT市場は前年比6.1%減、IDC Japanが予測をアップデート
2020年5月11日(月)IT Leaders編集部
IDC Japanは2020年5月7日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最新状況を考慮した国内IT市場予測をアップデートした。2020年の国内IT市場(支出額ベース)は前年比6.1%減で、27兆8357億円になる。
IDC Japanは、新型コロナウイルス感染症の2020年4月末時点での影響を考慮した国内IT市場予測を発表した。2020年の国内IT市場(支出額ベース)は前年比6.1%減で、27兆8357億円になる。2020年4月3日に発表した予測値は前年比4.5%減の28兆2155億円だったが、2020年4月7日に発令された緊急事態宣言による影響から、成長率は1.6ポイント低下する(関連記事:COVID-19の影響で2020年の国内IT市場は前年比4.5%減の28兆2155億円―IDC Japanが予測)。
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製品セグメントごとの前年比市場成長率は、スマートフォン/PC/タブレットなどの「デバイス(Devices)」がマイナス24.3%(前回予測比2.3ポイント減)、サーバー/ストレージ/IaaS/ネットワークなどの「インフラ(Infrastructure)」がマイナス3.9%(同2.7ポイント減)、「ソフトウェア(Software)」が0.6%(同3.4ポイント減)、「ITサービス(IT Services)」がマイナス2.8%(同1.0ポイント減)、「テレコムサービス(Telecom Services)」がマイナス1.2%(同0.7ポイント減)――となる。
ソフトウェアは、オンプレミス中心のプロジェクトの延期/中止などによって、今回もっとも大きな下方修正となり、2019年並みの市場規模に留まる見込み。ただし、リモートワーク環境へのセキュリティ対策とサイバー攻撃の継続的な増加によって、サイバーセキュリティへの投資は大企業を中心に継続する。
デバイスやインフラのハードウェア市場は、サプライチェーンの混乱拡大、およびユーザー企業側の出社自粛などによる受け入れ体制への影響が拡大し、下方修正した。一方、プロジェクトに依存性の少ないマネージドサービスを提供するITサービスへの影響は軽微と見ている。
2021年に向けては、「GIGAスクール」対応で今後急速に拡大するPCやタブレットなどのデバイス市場、クラウドサービス事業者の継続的な投資対象であるサーバーやネットワークなどのインフラやソフトウェアの市場は、堅調に回復する。
上記の予測は、COVID-19に関して、国内外ともに2020年前半で感染がいったん抑制され、経済活動が正常化した後も局地的に感染が再発して回復の阻害要因となるという仮定のもとに作成した。また、一部の先進企業を中心にデジタル変革への投資が活性化し、景気対策の一環として政府によるIT投資が選択的に行われることも前提にしている。
今後の状況次第では、危機管理、働き方改革、社会保障や行政のデジタル化などのニーズから、企業、政府、消費者レベルでデジタル変革投資が活性化されるという、IT市場にとって楽観的なシナリオも想定している。この場合の2020年における前年比成長率は、マイナス3.8%程度に収まる。
一方、2020年には世界主要地域全般レベルでの感染の抑制と経済活動の正常化が実現せず、感染の収束と経済の回復が2021年中盤以降に持ち越されるという悲観的なシナリオも想定している。こちらでは、前年比成長率はマイナス9.6%まで落ち込み、今後の状況次第ではさらなる成長率低下の可能性もある。
同予測は、IDC Japanが発行したデータベース『Worldwide Black Book Live Edition 2020 | Apr (V1 2020) Release』で詳細を報告している。同データベースでは、COVID-19の最新状況を踏まえ、2020年4月末時点におけるIDC Japanの最新のマクロ経済予測を基に、2019年までの実績および2020年~2023年の予測を提供している。
国内市場の詳細な製品セグメント別、産業分野別および企業規模別の市場予測については、今後順次発行するレポートで発表する。