[DX/イノベーションの推進者へ、未来に向けての提言─DBICビジョンペーパー]

「世界デジタル競争力」に見る日本の“本当の危機”─要素を詳細分析:第3回

IMDデジタル競争力ランキングで日本は23位、その“中身”が浮き彫りにするものは

2020年9月30日(水)デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)

デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)は今回、スイスIMDの「IMD世界デジタル競争力ランキング」に焦点を当て、さらに深く分析することにした。世界競争力センターによる3つの重要ランキングの1つで、前回紹介した「IMD世界競争力ランキング」とは兄弟関係にある。ランキング評価要素への分析で分析で浮き彫りになったのは、日本が直面する深刻な危機だ。

デジタル競争力ランキング──何を、どう測っているのか

IMD 北東アジア代表
高津 尚志

 スイスIMD(International Institute for Management Development)のデジタル競争力ランキングは、「ビジネス、政府、より広い社会における経済変革の主要な推進力としてデジタルテクノロジーを採用し、探求する」ことに関する63の経済(国や地域)の能力と準備度を測定している。主に、以下の3つの重要な「因子」から構成される。

「知識」因子:新しい技術の発見・理解・学習を通じてデジタル変革のプロセスを支える、無形のインフラストラクチャー
「技術」因子:デジタル技術の開発を可能にするコンテキスト(文脈)
「将来の準備」因子:デジタル変革を展開するための準備度

 これら各因子には3つの「サブ因子」があり、計9つのサブ因子は51の指標で構成される。各サブ因子は必ずしも同じ数の指標を持っていない。例えば、「IT統合」を評価するよりも、「訓練と教育」を評価するほうが、多くの指標を必要とするからだ。

 全51指標のうちデジタル競争力ランキングのみで使用される独自の指標は19。残りはIMD世界競争力ランキングと共有している。回答者の属性も世界競争力ランキングと同じだ。

IMD世界競争力センターの3つのランキング(出典:IMD World Competitiveness Centerのデータを基に高津尚志が作成)
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IMD世界デジタル競争力ランキング2019 因子・サブ因子と日本の順位(出典:IMD World Competitiveness Centerのデータを基に高津尚志が作成)
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 総合ランキングは、9つのサブ因子の結果を集約・統合して算出している。各サブ因子の結果は、それに含まれる指標の数に関係なく、9分の1ずつ同じ重みを持つ。

デジタル競争力「日本23位」の中身

 2019年、デジタル競争力ランキングで日本は総合23位だった。2015年からの5年間を振り返ると、23位前後を定位置としており、上昇・下降、いずれの顕著な傾向も見られない。

 また、「知識」「技術」「将来の準備」の各因子は、どれも総合順位と同程度。因子ごとの推移では、「知識」が2018年の18位から2019年の25位と、7位下げたことが気になるが、2017年は29位だったことからも、顕著な傾向とは言えそうにない。

 世界競争力ランキングのような長期低落傾向はここでは確認できないし、特定の因子が全体の足を引っ張る、といった目立った特徴も見えない。むしろこの5年間でみると、デジタル競争力での日本の順位は、世界競争力での順位よりも3から7位程度、上である。 この結果は、日本にとっての機会を示すものだろうか。サブ因子に注目すると、日本の課題と可能性がよりくっきりと見えてくる。

 たとえば、「知識」因子は全体では25位だが、その中のサブ因子「科学的集積」は11位と比較的高い。また、「技術」因子(24位)中の「技術的枠組」に至っては2位。この2つのサブ因子は「強み」と見なすことができよう。

 一方、「弱み」も際立つ。「技術」因子中の「規制の枠組」が42位、「資本」が37位。「将来の準備」因子(24位)中の「ビジネスの俊敏性(アジリティ)」は41位で、「知識」因子中の「人材」は46位である。「科学的・技術的に築き上げてきたよい基盤はあるが、それを活かす人と組織が弱い」と言えそうだ。とりわけ「人材」と「ビジネスの俊敏性」の低さが気になる。

 以下、「知識」「技術」「将来の準備」という重要因子ごとに、サブ因子や各指標レベルまで降りて、より細かく分析・検証していく。

●Next:日本のデジタル競争力の現状を、「知識」「技術」「将来の準備」の重要因子ごとに詳細分析

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