[市場動向]

IIJ、5G SA方式対応のeSIMを開発、ローカル5GにおけるIoT/M2M用途などを想定

2020年11月4日(水)IT Leaders編集部

インターネットイニシアティブ(IIJ)は2020年11月2日、5G(第5世代移動通信システム)の通信方式「5G SA(スタンドアローン)方式」に対応したeSIMを開発し、動作検証を完了したと発表した。5Gコアネットワーク技術に続き、フルMVNO(仮想移動体通信事業者)/ローカル5Gサービスに必要となる要素技術を確立した。

 IIJは2019年7月から、端末に組み込まれた書き換え可能なSIMであるeSIMを使ったデータ通信サービスを提供している。現在、ローカル5G(自営5G網)での活用を見据え、5G SA方式を使ったコアネットワークの技術開発・実証を進めている。

 今回、GSMA標準のeSIMに、3GPPで規格化された5G SA対応の機能を追加したeUICCプロファイルを搭載したうえで、市販の5G SA対応スマートフォンにダウンロードし、試験用の5G SA基地局・5G SAコアネットワークで動作を検証した。この結果、通信できることを確認した(図1)。

図1:5G SA方式を用いたeSIMを検証した(出典:インターネットイニシアティブ)図1:5G SA方式を用いたeSIMを検証した(出典:インターネットイニシアティブ)

 今回の開発により、5Gコアネットワークを用いたフルMVNOおよびローカル5Gで、5G SA方式の接続サービスの提供に必要となる要素技術を確立したとしている。

 IIJは、SIMカードベンダーであるG+D Mobile Securityとともに開発を進めてきた。今回のeSIM開発では、5G SAの標準規格への対応として、SIMカードに保存されている加入者識別情報(SUPI:Subscription Permanent Identifier)を暗号化したSUCI(Subscription Concealed Identifier)を導入し、セキュリティの強化を図った。

 用途として、ローカル5GにおけるIoT(モノのインターネット)/M2M(マシントゥマシン)などを想定している。IIJは、製造業の工場や流通倉庫、医療現場など、今後需要が見込まれる分野で、顧客企業のローカル5G導入を支援する。

 今後は、5GフルMVNO/ローカル5Gサービス、それらをベースとしたIoTサービスの提供などに向けて、引き続き準備を進める。また、プラスチックカード型のSIMについても、今後5G SA対応を推進する。

 現在利用が始まっているキャリアの5Gサービスは、NSA(ノンスタンドアローン)と呼ばれる方式で、4Gのコアネットワーク基盤に5Gの基地局を追加したシステムで構築している。5Gの基地局とは別に4Gの基地局も運用する必要があることから、特にローカル5Gのような利用者自身が基地局を整備して利用する自営網では導入が困難である。

 これに対して、5G SA方式は、4G設備に依存せずに、5G基地局だけで利用できる。また、5G NGC(次世代コア)と組み合わせることで、高速通信に加えて低遅延・多数同時接続などの5G本来の性能を享受できる。

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5G / IIJ / ローカル5G / eSIM / SIM / M2M

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