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[データマネジメント2021]

現実に即した”使えるデータガバナンス”とは?~直面しがちな3つの課題とその解決策

2021年4月2日(金)

データガバナンスの実践では、利用者が守るべき共通ルールや規定を明記したガイドラインを作成することが多い。だが、ともすれば規定が膨大になってしまい、業務や仕組みの変更にガイドラインの見直しが追いつかない問題が生じたり、膨大なガイドラインに利用者が反発したりするケースもある。「データマネジメント2021」のセッションに、リアライズの田畑賢一氏が登壇し、データガバナンスの推進にまつわる課題とその解決法が解説された。

データマネジメントとデータガバナンス、その定義とは?

一般に、データマネジメントとは、“データ”と“インフォメーション”という資産の価値の提供をはじめ、その管理や保護、強化を行うために、それらのライフサイクルを通して計画、方針、スケジュール、手順などを開発、実施、監督することをいう。

一方、データガバナンスの定義は、データ資産の管理について、職務権限を通して統制し、意思決定を共有することを意味する。

リアライズの田畑賢一氏(データマネジメント事業部 シニアスペシャリスト)は、「定義上、両者の間にはほぼ差異はありません。しかし、そこに具体的な活動が加わるという点で、データマネジメントを成立させるためには、データガバナンスが非常に重要な取り組みとなります」と強調する。

株式会社リアライズ データマネジメント事業部 シニアスペシャリスト 田畑賢一氏

データマネジメントの知識体系である「DMBOK2(Data Management Body of Knowledge: 2nd Edition)」には、データマネジメントの目標として、以下の内容が掲げられている。

  • 顧客、従業員、ビジネスパートナーを含む企業およびステークホルダーの情報ニーズの理解とサポート
  • データ資産の取得、保存、保護、および完全性の保証
  • データと情報の品質を保証する
  • ステークホルダーデータのプライバシーと機密性を確保する
  • 許可されていない、または不適切なアクセス、操作、データおよび情報の使用を防止する
  • データを効果的に使用して企業に付加価値を付けることを保証する

データマネジメントとは、データを企業・組織がそれを効果的に利用できるよう“適切な状態”にすることを目指している。例えば、データは企業や組織が推進するデジタル変革(DX)やディープラーニング等に活用されることで、はじめてその効果が得られる。すなわち、データマネジメントとは、企業・組織の活動に役立てるようにするための一連の活動と言える。

対してデータガバナンスは、「データを企業・組織の活動に役立てるようにするため、人々の活動をどのように変化させるのか」ということに焦点を当てたものとなる。

データガバナンスの推進を阻害する3つの要因とは?

しかし、多くの企業・組織では、このデータガバナンスがうまくいっていないケースが散見される。田畑氏はデータガバナンスがうまくいっていない原因として、下記の3点を挙げる。

① データマネジメントの理由付けがなされていない

データガバナンスを進めていくためには、まずは関係者にデータマネジメントの意義を納得してもらうことが重要となる。しかし、データマネジメント自体はビジネス上のメリット等、定量的な効果を説明しづらい側面がある。したがって、データが整備されることで、「どのようなビジネス上の効果がもたらされるのか」、事前に定義付ける必要がある。

「そうした理由付けが十分にされていなければ、多大な時間とコストを要する活動にリソースを割いてくれる人は現れません」と田畑氏は言う。

② 活動内容の定義が適切ではない

データマネジメント活動では、必要となる組織の定義と要員の割り当てをはじめ、必要となる方針やプログラムの検討、標準やガイドラインの作成と配布、ワークフローの定義などが行われる。しかし、これらの活動を推進していくにあたり、「関係者にどの程度の負荷が発生するのか」「どの程度までであれば、実施可能なのか」を見極める必要がある。

「データマネジメントの活動内容が多すぎて関係者の負荷も大きくなると、社内の抵抗が大きくなり、誰も取り組んでくれないという事態を招くことがあります。変化が大きければ大きいほど、社員の抵抗も大きくなることを考慮に入れておくべきです。この見極めが不十分だと、そもそもデータマネジメント/ガバナンスの運用にまで至りません」(田畑氏)。

③ 運用と改善が十分に行われていない

①と②がスムーズに進んだとしても、運用段階に入ってうまくいかなくなる場合もある。田畑氏によれば、「重要なポジションにいた人物が異動した際に、組織的な役割分担ができていなかったため、引継ぎが行われず活動自体が縮小した」例もあるという。

同様に、スポンサーとして活動していた役員が退職したものの、データマネジメント/ガバナンスの成果を報告する仕組みが社内にできておらず、また、積極的に関与する役員が不在となってしまい、活動のための予算が捻出できなくなったというケースもあるという。

田畑氏は、「これらのことからも明らかなように、データマネジメント/ガバナンスを推進するためには、“人”でなく“組織”に活動を根付かせなければなりません」と訴える。

データガバナンス活動を円滑にするための3つの方策

それではデータガバナンスはどうあるべきなのか。田畑氏は先に説明してきた3つの課題に基づき、次のように解決策を説明した。

① IT戦略と合わせてデータ戦略を策定する

データマネジメントの方針策定にあたっては、データマネジメントだけを取り上げて実施の理由とするのではなく、ビジネス戦略に掲げられた目標を達成するためにどうあるべきか、わかりやすく説明されていなければならない。具体的な例としては、売上目標を達成するための手段に対して、「どのようなデータが必要なのか」を特定し、「そのデータがどのような状態にあるべきなのか」とデータマネジメントの方針を定義すると良い。

「また、データの活用法を考えるにあたっては、システムやテクノロジーの話題とも密接に絡むことが少なくありません。したがって、データ戦略はIT戦略と合わせて検討するのが理想的です」と田畑氏は補足する。

② 活動の負荷を軽減する

活動負荷を軽減するにあたっては、どのビジネス領域のデータをガバナンス活動の対象とするのか絞り込みを行うとともに、DMBOKの知識領域を基準として対象領域を定めることが重要となる。

「データマネジメントに取り組む企業は、全方位的に実施することを望みがちです。しかし、これまでにない取り組みを行うためには、ある程度、取り組むべきスコープを絞り込むとともに、短期的に具体的な成果を出していくことが重要になります」(田畑氏)。

③ 活動を組織の中に根付かせる

データガバナンスの推進では、データマネジメントに取り組むための組織を社内に設置するのが理想だ。「データマネジメント活動、およびその中心的な役割をもつデータガバナンス組織が、いかに他の組織と密な関係を築くことができるかが、その成功の鍵を握っています」と田畑氏は語る。

また、組織的な取り組みを効果的に行う施策として下記が挙げられた。

  • 活動をタスクフォース化し部門横断で役割と責任を振り分ける
  • 活動の貢献者に何らかのインセンティブを与える
  • データの責任者を明示化した上で、特定のデータに問題があることを周知する

田畑氏は最後に、「DMBOKが初版から2に改定された際に、データガバナンスや組織論に関して多くの項目が追記されました。中でも『チェンジマネジメント』の章にはデータガバナンスを推し進めるためのヒントが多数記載されているので、是非参考にしていただきたい。また当社のような専門家を推進チームに入れると、効率的に進めることができる」と訴え、セッションを締めくくった。


●お問い合わせ先

株式会社リアライズ
URL:https://www.realize-corp.jp/
TEL:03-6734-9888
E-mail:sales@realize-corp.jp
 

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