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[プロセスマイニング コンファレンス 2021 LIVE]

プロセスマイニング導入企業は2タイプ、その最適な導入アプローチと展開を4つの事例から探る

2021年7月26日(月)

「プロセスマイニング」と聞くと、なにか特別なツールやイベントログ分析の専門知識が必要なのではないかと、導入前から尻込みしてしまうケースは少なくない。だが、業務プロセスの見直しが多くの企業にとって急務となっている。6月29日にオンライン開催された「プロセスマイニング コンファレンス 2021 LIVE」(主催:インプレス IT Leaders)に登壇したABBYYジャパン株式会社の近井 英樹 氏は、誰でも導入してすぐに使えるプロセスマイニング製品の選択は必須であり、さまざまなユースケースを知ることが自社に最適なプロセス改革の糸口になると、4つの事例を通して訴えた。

プロセスマイニング導入企業の典型的な2つのパターンとは?

 ABBYY(アビー)は、AI をベースにしたプロセスマイニングおよびOCR製品をワールドワイドで展開。数千社の企業と5000万名以上のユーザーを擁するプロセスマイニングのマーケットリーダーだ。同社では、これまでの導入実績やコンサルティング経験をもとに、企業におけるプロセスマイニング導入時の課題について分析・研究を続けてきた。それによれば、プロセスマイニングを導入しようとする企業には、大きく分けて2つのタイプがあると近井氏は指摘する。

 「1つは、プロセスマイニングを行う対象業務が決まっており、データもあるが、ツールの使い方がわからないタイプ。もう1つは、そもそも分析対象となる業務や課題を見つけることができず、見つかったとしても分析できるかどうかわからないというものです。当社ではお客様からご相談を受けた時点で、まずどちらの状況にあるかを調査し、現状を正確に把握した上で最適のアプローチを提案するようにしています」(近井氏)。

ABBYYジャパン株式会社 ソリューションコンサルティング シニア プリセールスエンジニア 近井 英樹 氏

 それぞれの具体的アプローチについて、近井氏は以下のような手順とポイントを紹介する。

① データはあるが、ツールの使い方がわからない場合

 まず業務システムのログデータを共有してもらい、その内容にふさわしい考え方やツールは何かを分析したうえで、必要な手順書や報告書を顧客に提出する。ここではツールだけでなく、その使い方までも具体的に提案するのが重要だ。

 というのも、必要なツールがわかっても、顧客がその使い方を一から学習して手探りで分析を行うのはあまりに非効率的だからだ。そこでABBYYジャパンでは、ツールの使い方までを含めて提案することで、高品質なプロセスマイニングを実現する方針を掲げているのだ。

② 分析対象となる業務や課題を見つけられず、分析できるかもわからない場合

 このケースは過去のAIやBIの普及当初にも見られたパターンで、「何かすごいことができるらしい」と経営層が導入を指示したものの、担当者レベルで何の用意もできておらず進めないというものだ。これには特効薬はなく、まずはツール導入前に「何が課題で、そこにプロセスマイニングを使ってどう取り組み、解決目標として何を実現するか」を整理しなくてはならない。

 ABBYYジャパンでは、こうしたケースに対しても、着手のための知識や手順などを、顧客との対話ベースで提案して進めていくことができる。

プロセスマイニングでは黄色い枠内のシステムや業務フローのログを対象に業務分析を行う
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さまざまな業種の課題に合わせABBYYが最適な解を提案

 業務フローを視覚化し改善につなげるプロセスマイニングツール「ABBYY Timeline」は、ほぼ設定作業を行うことなく、導入してすぐに利用できる点が特徴だ。だがそれだけに、自社の業務に最適なユースケースを知らなくては、「簡単に使えるのはよいが、期待したとおりの結果が出ない」可能性もある。そうした業務ごとの「使いこなし例」として、近井氏はいくつかの代表的な導入事例を紹介する。

導入事例①:製薬会社A社におけるヘルプデスク業務の課題点の分析

 A社ではコスト削減のために、情報システム部門の業務の一部をシステム子会社に振り分け、人手のかかるヘルプデスク業務は、社外にアウトソーシングした。こうした仕組みに対し、システム子会社からABBYYジャパンに、プロセスマイニングの取り組み及び評価の依頼があった。

 依頼の時点では、分析対象の業務も決まらず、そもそもどうしたらよいかわからない、という状況だった。しかも、サーバー管理部門の協力が得られず困っているという事情もわかった。

 「そこで、少しでもデータが取れるところから始めようと、アウトソーシング先のヘルプデスクのデータを入手。分析を進めた結果、問い合わせ対応で特定の担当者に業務が集中していて、そこがボトルネックになっていることが判明し、ナレッジのシェアなどでこの負荷を分散すれば解決につながることなどを発見できました」(近井氏)。

属性ごとの現状分析で、対応時間の多い問い合わせ対象と担当者を特定できた
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導入事例②:造作家具B社における納期遅れの発見および工程管理の強化

 造作家具=特注家具メーカーのB社では、受注から納品まで1カ月を標準の納期としてきた。だが発注元による納期・仕様変更がひんぱんにあり、その対応の難しさやスケジュール変更のミスに起因する、大幅な納期遅れのリスクが避けられなかった。

 そこで使い勝手が良いという評判を耳にしてABBYY Timelineを導入。受注から1カ月以上クローズしていないアイテムの絞り込みを行い、スケジュール管理の徹底と精度向上を実現しようと考えた。

 「ABBYY Timelineのグラフィックを多用した直感的なUI 画面によって、誰もが容易に条件絞り込みを行えるようになった結果、アイテムの進捗状況や納期の遅れを一目で把握できるようになっただけでなく、アラート機能によるリアルタイムの対応ができるようになったとご評価をいただいています」(近井氏)。

 B社ではこの成果を高く評価して、現在は過去のデータをABBYY Timelineが学習して、この先の似たようなケースの発生を予測・検出する「学習予測」機能の追加導入も進行中だという。

ABBYY Timelineでは、条件による絞り込みと結果の確認が視覚的に行える
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導入事例③:メンテナンス業務C社における従業員スキルのばらつき解析

 機械設備などのメンテナンスを手がけるC社の課題は、メンテナンス業務における新人と熟練者のスキルのばらつきを、難しいツールの設定を行うことなく解析できる仕組みを作りたいというもの。また使える対象データとしては、3種類のログデータ(携帯番号、位置情報、タイムスタンプ)のみ。メンテナンス担当者は基本的に客先を移動しながら業務を行っていくため、これらが担当者のIDであり行動履歴になるというわけだ。

 そこでABBYYジャパンからは、3つのデータをもとに新人と熟練者がそれぞれメンテナンス作業にかかった時間をグラフ化し、分布の偏りなどを可視化するアプローチを提案した。この方法は設定も不要で、UIも非常に直感的でシンプルなため、C社みずからによる導入・運用が可能になったという。

 「このグラフでは、単なるばらつき度合いの平均値ではなく、標準偏差的な表示で作業時間を示せます。このため作業の改善ポイントや修正点、ボトルネックの可能性を視覚的に把握でき、具体的な改善ポイントのアプローチを取れるのが大きなメリットです」(近井氏)。

ばらつき度合いを標準偏差(パーセンタイル)で示したグラフ。ダイヤ型のマークが右に寄るほど作業時間が長いことを示している
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導入事例④:人事業務D社における退職傾向解析

 こちらはデモデータではあるが、人事の退社傾向解析が4つめの事例として紹介された。課題は入社から約1年で10%の従業員が退社してしまうこと。業績評価、部署異動、査定評価など複数のログを分析した結果、入社後すぐに「注意・勧告」や「勤務業績評価」を受けると退社の傾向が高まることが判明した。これらの告知の実施方法やタイミングについて検討する余地があると判断できた。

入社から13カ月で退社した社員と3年以上在籍している社員のモデル傾向を比較
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すぐに始められる多彩なツールを提供
今年5月には新機能もリリース

 近井氏はまとめとして、プロセスマイニングツールの導入における2つのタイプに合わせて、ABBYY Timelineの提供するサービスを紹介する。

① データはあるが、ツールの使い方がわからない場合

 すでにプロセスマイニングを行いたい業務や、必要なデータがそろっていれば、あとは実際にABBYY Timelineを使って分析を進めていけばよい。ABBYYジャパンではそうしたユーザーの業務や課題の詳細な聞き取りを行い、そのニーズに合わせた操作マニュアルや報告書作成サービスなどを提供している。

② 分析対象となる業務や課題を見つけられず、分析できるかもわからない場合

 まだ何も決まっておらず、どう決めてよいかもわからないという場合には、とにかく第一歩を踏み出すことが必要だ。ABBYYジャパンではそうしたビギナー層のために、導入したその日からすぐに使い始められる25種類以上のツールを提供している。また、1つのライセンスでさまざまな業務分析が可能なライセンス体系なので、「小さく始めて、大きく活用を拡げる」使い方が可能になっている。

 近井氏は、「2021年5月には、新たにタスクマイニング機能を備えたツールもリリースしました。これらをご活用いただくことで、さらに簡単に、高品質に、しかも広範囲にわたる業務分析をご利用いただけるようになっています。これからプロセスマイニングに取り組もうという企業の方は、ぜひ一度ご相談ください」と呼びかけ、セッションを終了した。



●お問い合わせ先

ABBYYジャパン株式会社

URL: https://www.abbyy.com/ja/

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