川崎汽船と日本IBMは2021年10月27日、自動車船荷役作業の安全品質をIoTやAIで高める実証実験を実施したと発表した。IoT機器やAIを活用し、自動車船内における車両走行の情報、車両や作業員の位置情報、作業員のバイタル情報などを収集して分析した。
川崎汽船と日本IBMは、自動車船荷役作業の安全品質をIoTやAIで高める実証実験を実施した。荷役会社の協力の下、船内にビーコン（位置情報センサー）、状況監視カメラ、スピード計測機器を設置してデータを収集し、車両の走行スピード抑制、作業員と車両の接触防止、車両の追突防止、作業員のバイタル情報の収集について検証した。
AIによる画像認識技術を利用して、カメラ映像から自動車と作業員を分別し、接近状況が分かるようにした。また、ウェアラブルデバイスから心拍データを取得し、アルゴリズムを元に解析したデータから、作業員のストレス傾向を把握した。
これらのデータを分析して、船内でのスピード違反やヒヤリハットの発生件数、発生状況を可視化。安全管理強化による作業品質の向上を図る。
データの分析基盤にIBM Cloudを採用した。日本IBMは、センサー情報の収集・管理・分析のため、リモートモニタリングツール「IBM Maximo Monitor」をIBM Cloud上に構築。データサイエンティストが中心となって、IoTアプリケーションの設計やデータ分析などを支援した。
川崎汽船は今後、今回の実証実験の結果を踏まえ、実装に向けたさらなる検証を進める。2021年3月には、船内・船陸間の通信設備を強化した次世代型環境対応自動車船「CENTURY HIGHWAY GREEN」を竣工させるなど、通信インフラの強化にも取り組んでいる。
