読者は、岸田首相肝煎りの「デジタル田園都市国家構想」(デジ田)について、どこまでご存知だろうか? 名称だけではよくわからない政策構想だが、内閣官房のWebサイトには、2021年11月11日・12月28日に開かれたデジタル田園都市国家構想実現会議の資料が公開されている。知人に誘われ、年初に「デジ田応援団スタートアップ」というイベントにも参加したので、思うところを書いてみる。
デジ田=デジタル田園都市国家構想とは何か
デジタル田園都市国家構想、通称「デジ田(デジデン)」は、同じ内閣官房が所管するまち・ひと・しごと創生本部がこれまで進めてきた地方創生とは何が違うのか。地方創生の実務に関わっている身の筆者としては、すこぶる気になる政策である。デジ田の会議資料をいろいろ読んでみると、デジ田もまち・ひと・しごと創生も地方創生を目指しているのは同じだ。
2014年から始まったまち・ひと・しごと創生は、創生法が制定・施行されて法定組織として本部が設置されている。地方創生政策の中核がこちらであることは間違いない。同法は20条からなる法律で、基本理念を中心に国や地方自治体や事業者や国民のやるべきことなどを定めたものであり、総合戦略や具体的な活動は別途定めながら進められてきた。
我が国にとって地方創生は国の活性化や経済活動において重要な課題である。少子高齢化やそれに伴う地方の過疎化問題は、放置すれば国そのものの衰退につながる。都市と地方の格差問題のような現象の問題では済まされない。それがまち・ひと・しごと創生が“ローカルアベノミクス”と呼ばれた所以でもある。
まち・ひと・しごと創生の2021年推進計画でも、デジタルは3つのテーマ(ヒューマン、デジタル、グリーン)の1つに位置づけられていて、データ活用、遠隔医療、スーパーシティ、スマート農業などのキーワードが並び、2020年度までに約3兆円の交付金によって9万事業が進められてきた(図1)。
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一方、デジ田は地方から進めるデジタルの実装を強く意識していて、これによって日本全体の変革につなげたいという思いが色濃く出ている。括ってしまえばデジタルを核にした地方創生の新しい枠組みとなり、「地方創生のDX」と言ってもよいのかもしれない。
「デジ田応援団」のスタートアップ会合に参加してみた
知人から2021年の年の瀬に、年明け早々の1月5日に開催される「デジタル田園都市国家構想応援団スタートアップ」というイベントに参加しないかと誘いを受けた。それまでデジ田について深く知ろうともしていなかったが、インフォーマルなコミュニティに参加することによって理解も深まるだろうと考え、好奇心8割で参加してみた。
会合はリアルとリモートのハイブリッド方式。新しいコミュニティに参加するにはリモートでは意味がないのでリアルでの参加を希望し、イベント終了後の懇親会にも申し込んだ。リアルでの参加者は40~50人程度、会場に入りきれずに別室で視聴する参加者もいたようだ。
イベントは、会の趣旨説明や応援団の目的などの解説から始まり、山田太郎デジタル大臣政務官や若宮健嗣デジタル田園都市国家構想担当大臣の秘書など政府関係者の挨拶、今後の活動スケジュールの説明の後、参加者の自己紹介とどのように関わりたいかの意思表明などがあった(図2)。産官学さまざまな分野から参加していたが、デジタルが冠にあることからIT系の参加者が目立った。応援団は2022年3月を目処に設立するそうで、それまではSNSなどで情報を共有していくことになる。
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また、参加者にCePICメンターの方が1割ほどおられて目立つ存在だった。CePICとは「みんなの地球公園国際コミュニティ(Common earth Park international Community)」という、さまざまな社会課題を解決して人と地球の未来を創ることを目的に活動している一般社団法人である。メンターは産官学の専門家が、メンバーからアイデアを募り、オープン・イノベーションの場を作り、共創することによって実現していく活動をしている。デジ電のようなスケール感が大きく、社会課題を解決していく活動にはふさわしい団体である。
懇親会では、東京都の方針を受けて、認証された飲食店で8人単位のテーブルが6つほど用意され会食と懇談が行われた。久しぶりの名刺交換から始まり、実にさまざまな分野から異色な人たちが参加されていることがわかる。リモートでは決して深まらない会話や情報交換はとても有意義なものだった。
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