日本データマネジメント・コンソーシアム主催「データマネジメント2022 ~データを制するものがDXを制す~」が3月10日にオンラインで開催された。Denodo Technologiesのセッションでは、営業本部 セールスディレクター 徳澤丙午氏が登壇。データ仮想化による論理データファブリックのアプローチを解説した。
DWHやデータレイクを中心にデータアーキテクチャが乱立する状況に
DXの取り組みが大きく進展する一方で、企業ではデータのあり方、持ち方に対する混乱も見られるようになった。徳澤氏はまずそうした状況について「デジタル化やクラウド化といったモダナイゼーションが進みました。ただ、データアーキテクチャが乱立し何が必要なのか見失っている企業も多いように見受けられます。データ利活用の大航海時代を乗り切るアーキテクチャが求められています」と切り出した。
Denodo Technologiesは、1999年にスペインの大学教授が創業し、データを移動させずオンデマンドで利用する「データ仮想化」に早期から注力してきた企業だ。現在はシリコンバレーを本拠に19カ国で事業を展開し、データ仮想化ツールのリーダーと評価されている。日本国内での事業展開は2020年から本格化している。
「データ活用では、データウェアハウス(DWH)が長く利用されてきました。その後、非構造化データなどに対応するためデータレイクという新しいアーキテクチャが登場します。さらにクラウドの活用が進むと新しいアーキテクチャが乱立するようになりました。『全社DX』という大号令がかかるなか、気が付いてみれば、各事業部・カンパニー単位で、新たなデータのサイロができている状況です」(徳澤氏)。
さらに企業活動が国際化し、事業拡大や最適化に合わせて、現地法人の設立や買収合弁も増加している。海外事業を含めてDXを進めようとする企業の中には、各国・各事業部のDWHやデータレイクからデータを集めて、新たに巨大なDWHやデータレイクを作る動きも出はじめている。
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蓄積データとライブデータをオンデマンドに提供する「データファブリック」
そうした状況に対し、現実的なアプローチとなるのが「データファブリック」だ。
「新たに巨大なDWHやデータレイクを作るのではなく、独立したすべてのシステムが1つの統合システムに見えるように、各国・各事業部の業務システムやDWH、データレイクを包み込むアーキテクチャが重要になってきています。それを実現するのが、基盤としてのデータファブリックです」(徳澤氏)。
調査会社ガートナーによると、データファブリックは、多種多様なデータ統合スタイルの使用や再利用、組み合わせが可能な技術を採用しているため、統合設計にかかる時間を30%、導入にかかる時間を30%、メンテナンスにかかる時間を70%削減できるという。また、既存ツールを活用しつつ、新しいアプローチやツールの活用も可能だ。
「データファブリックは、高級リゾートホテルのオペレーターに似ています。顧客からの問い合わせに対し、部屋の好みや宿泊履歴、保有ポイントなどを見ながら、眺望やサービス内容など、Webサイトだけではわからないさまざまな情報を提供し、顧客をサポートします。同じようにデータファブリックも、複数のデータソースをラップして、蓄積されたデータの検索や外部連携、リアルタイムの問い合わせなどに対応します。蓄積データとライブデータをオンデマンドに提供します」(徳澤氏)。
データをコピーせず、ライブデータを必要なタイミングで利用できるため、海外拠点をまたいだDXの推進でも、即戦力となり、国際間のデータプライバシーにも対応することが可能だ。
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データカタログ機能や国際間でのセキュリティ、ガバナンス機能も提供
Danodoでは「論理データファブリック」をソリューションとして提供する。論理データファブリックは、データ仮想化技術をベースにすべての業務システムおよびDWH・データレイクの上に位置する抽象化レイヤーであり、BI、ダッシュボード、データサイエンティスト、AI、外部ユーザー、モバイルなどあらゆるタイプのデータ利用者にデータを提供するものだ。
「物理データの複製や再配置を必要としないデータ統合のアプローチです。データを抽象化し、アプリケーションやデータの使用をデータソースから切り離し、ビジネス視点でユーザーが即時に利用できるようにします。また、あらゆるデータへ簡単にアクセスし、高い性能でリアルタイムにオンデマンドでデータを活用できます」(徳澤氏)。
機能として、データディスカバリのためのデータカタログ機能や、データ資産全体で統一されたメタデータ、セキュリティ、ガバナンスの管理機能など、昨今、データマネジメントで求められるようになった新しい機能にも対応する。これらを新規および既存の物理データプラットフォームを利用して構築できるため、投資コストが抑えられることもメリットだ。
実際、日本のある飲料メーカーでは、論理データファブリックのアプローチを使って、さまざまなデータを統合し、新商品開発に生かしている。
「オンプレミス、マルチクラウド、SaaS形式で利用するCDP(カスタマーデータプラットフォーム)といった混在した環境でデータを分析できるようにし、DXを推進する部署が顧客の声の分析やマーケティング施策に生かし、ヒット商品を生み出しています」(徳澤氏)。
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3年間で数億円規模も、論理データファブリックの「総合的経済効果」
Danodoでは、論理データファブリックを導入した場合のビジネス価値についても、さまざまな調査を行い、明らかにしている。
「データを活用するための準備に時間がかかるほど、実際のビジネスに適用する際の効果が薄くなります。データ準備が迅速化することで、アクションを実施するまでのタイムラグが減少し、企業がすばやく顧客ニーズに応えられるようになります。それがDXの神髄でもあります」(徳澤氏)。
調査会社フォレスターが発表しているDenodoの総合的経済価値(Total Economic Impact)では、「ETLと比べてデータ提供時間を65%短縮」「運用効率への影響を毎年33%改善」「1年あたり30万ドル以上のレガシーデータ統合ツールの削減」「価値創出時間を83%短縮」「データ準備作業を67%削減」といった効果を確認している。
また、国内のある電気メーカーでは、Denodoを導入して、仮想データマート、仮想統合データレイク、データカタログを構築。これにより、年間約2億円のコスト削減効果を見込んでいるという。最後に、徳澤氏は次のように述べ、Denodoが企業のDXを支援できることを強調した。
「Web、クラウド、ストリーミング、構造化データを組み合わせた、完全なエンタープライズ情報を取り扱うことが可能で、データ取得、データセット作成、変更に対応する迅速性により、6カ月以内のROI実現します。総合的経済効果は、3年間で数億円規模です。リアルタイムの統合とデータアクセスにより、ビジネス上の意思決定を迅速化します」(徳澤氏)。
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●お問い合わせ先
Denodo Technologies株式会社
URL: https://www.denodo.com/ja
問い合わせフォーム:https://www.denodo.com/ja/contact-us
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