[新製品・サービス]
日本テラデータ、業務部門向けの新エディション「VantageCloud Lake」、アドホック分析などに用途を拡大
2022年8月30日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)
日本テラデータは2022年8月30日、セルフサービス型データ分析プラットフォーム「VantageCloud Lake」を発表した。業務部門のエンドユーザーがアドホックにデータを分析可能にする。VantageCloud Lakeの発表に伴い、基幹のデータ分析プラットフォーム「Teradata Vantage」のクラウド版を「VantageCloud Enterprise」と改称している。LakeエディションはEnterpriseエディションを補完してユースケースを広くカバーする。Lakeエディションの価格は月額4000ドルからの従量課金となる。
日本テラデータの「VantageCloud Lake」は、業務部門のエンドユーザーがセルフサービス型でアドホックにデータを分析可能な、クラウド型のデータ分析プラットフォームである(図1)。
VantageCloud Lakeの発表に伴い、基幹のデータ分析プラットフォーム「Teradata Vantage」のクラウド版を「VantageCloud Enterprise」と改称している(関連記事:データ分析基盤「Teradata Vantage 2.2」、AWSに続きAzure/Google Cloudでも提供)。
拡大画像表示
Teradata Vantageは、SQLデータベースに各種データ分析エンジンを統合したデータ分析プラットフォームである(関連記事:AWS上の単一システムで1000ノード同時処理─テラデータがVantageの分析性能をアピール)。今回発表したVantageCloud Lakeは、VantageCloud Enterpriseを補完する位置付けにある。Enterpriseエディションが提供してきたデータベース機能とデータ分析機能群のすべてを備える一方で、業務部門のエンドユーザーによる小規模なアドホック分析、探索型の分析、部門別のデータ分析など、これまでEnterpriseエディションがカバーしていなかったユースケースを広くカバーする。これらの用途において、Enterpriseエディションよりも安価にデータを分析可能だとしている。
Enterpriseエディションと比べると、システムのアーキテクチャも異なっている(表1)。初めからクラウドネイティブな形でサービスを構成している。例えば、オートスケーリング機能を備えており、システムリソースが枯渇しそうになった場合に、自動でリソースを拡張する。クエリー数ではなくシステムリソースの消費量に基いて必要な場合に限って拡張することで、コストを抑えている。ワークロードごとにスケーリングのルールを設定できるほか、ワークロードの課金状況を可視化するレポートも生成する。
拡大画像表示
データの分析操作だけでなく、データ分析のためのサーバーリソースも、セルフサービス型でプロビジョニング可能である。システム管理者やデータベース管理者があらかじめ設定しておいたルールに則った形でプロビジョニングする。エンドユーザーの管理下にあるサーバークラスタのスケーリングの設定も、セルフサービスで可能である。
Lakeエディションでは、安価なオブジェクトストレージの利用を中心に据えることで、ストレージのコストも抑制している。オブジェクトストレージ上に独自のファイルシステムを構成している。これはEnterpriseエディションにはない機能である。Enterpriseエディションの場合、外部テーブルという形で汎用のオブジェクトストレージ上に置いたデータを分析する形になる。
Lakeエディションは、まずはAWS(Amazon Web Services)上で提供を開始した。Amazon EC2やAmazon S3/Amazon EBS、AWS Auto Scaling機能などを利用する。2023年には他の主要なパブリッククラウドでも使えるようにする予定である。
Lakeエディションの発表と同時に、Teradata Vantage製品群のデータ分析機能を強化し、「ClearScape Analytics」に改称した。50を超える時系列関数を標準でデータベースに組み込んだほか、マシンラーニング(機械学習)を迅速に運用するための機能を搭載した。時系列関数は、データ変換や統計的仮説検定から特徴量エンジニアリングやMLモデリングまで、分析のライフサイクル全体をカバーするとしている。特に、数十億個のセンサーなど大量のデータに対して時系列分析を適用する場合に、コストと手間が大幅に減るとしている。