[調査・レポート]

「スマートな顧客体験」の提供に不可欠な5つのトレンドと実践のポイント

Zendesk「CXに関する年次トレンドレポート2023年版」より

2023年3月15日(水)神 幸葉(IT Leaders編集部)

米Zendeskの日本法人は2023年2月15日、グローバル調査レポート「カスタマーエクスペリエンス(CX)に関する年次トレンドレポート(2023年版)」を発表した。同レポートの発表に先立ち、同年2月13日、Zendesk 日本法人社長の冨永健氏と本社CTOのエイドリアン・マクダーモット氏がグループインタビューの中で、調査から浮かび上がるCXのトレンドと、企業が抑えるべき実践のポイントについて説明した。

今日の消費者が求めるスマートな顧客体験

 2007年にデンマークで設立され、現在は米国に本社を置くZendesk。日本法人は2013年2月28日に設立された。グループインタビューの冒頭では、Zendesk 日本法人社長の冨永健氏(写真1)が日本法人設立から10年の事業や取り組みを総括した。

 カスタマーサポートプラットフォーム「Zendesk」は、クレジットカード1枚で気軽に使い始められるCX(Customer Experience:顧客体験)ソリューションとして、スタートアップ界隈でのクチコミからユーザーが広がったという。「現在は中堅、大手企業にもカスタマーサポート/CXを提供するプラットフォームとして認知されている」(冨永氏)。

 冨永氏によると、「今日の消費者は、自分がいる場所から望む方法で、ブランドが自分自身に向き合ってくれるスマートな顧客体験を求めている。商品やサービスの提供側にとっては、顧客ロイヤリティを確保し続けるために、重要な差別化要因になる」と説明。そのために企業は、改めてCXの重要性を認識して、戦略や顧客との関わり方を再定義する必要があるとした。

写真1:Zendesk 日本法人社長の冨永健氏

 特にアジア太平洋地域全体で不安定な経済が続く中、後述する調査レポートでは、ビジネスリーダーの約7割が、「顧客サービスを通じた企業のレジリエンス強化」が最優先事項であると回答している。また、世界のビジネスリーダーの約8割、日本の約6割が、すぐれたカスタマーサービスの提供をかつてないほど重要な事項と認識し、CXに大規模な投資を進めているという結果だった。そうしたニーズを受けて、Zendesk日本法人はここ数年で従業員を約3倍に増員したという。

CXの未来を形成する5つのトレンドと実践のポイント

 「カスタマーエクスペリエンス(CX)に関する年次トレンドレポート(2023年版)」の解説を務めたのは、Zendeskの最高技術責任者(CTO)のエイドリアン・マクダーモット(Adrian McDermott)氏(写真2)である(関連記事CXの重要性を認識しながらも、優先事項に挙がらない日本企業─Zendesk調査)。

 調査対象者は広範で、日本を含む世界20カ国/約3700人の消費者、4700人以上のカスタマーサービスおよびCX担当責任者である、また、Zendeskによる調査/ベンチマークプログラムに参加した全世界約10万社の顧客企業から収集したデータを参照している。

写真2:Zendesk 最高技術責任者(CTO)のエイドリアン・マクダーモット氏

 スマートな顧客体験を提供するために欠かせない要素として、マクダーモット氏は「対話型サービス」「パーソナライゼーション」「AI」「顧客満足度と感情分析」「部門の垣根を超えたスムーズな連携」の5つを挙げた。これらがCXの未来を形成する重要なトレンドになるという。

消費者を豊かにする「対話型サービス」

 今日の消費者は多くの対話型サービスを求めているという。調査では世界の消費者の70%が、すべての顧客接点においてシームレスなオムニチャネル体験を提供する企業に対して、より多くの支出を行っている。また、世界の消費者の66%は、あるチャネルで対話を始めた後、別のチャネルでもシームレスに対話が続けられる企業に対しては、より多くの支出をする可能性があると回答している。日本の消費者の場合、41%がシームレスな対話ができる企業への支出の意思が強く、「日本企業にとって、これは非常に大きなチャンスと捉えられる」(マクダーモット氏)。

 一方で世界の60%の企業が対話型カスタマーサービスを導入するつもりはあるが、実際の導入には踏み切れずにいる。グローバルリーダーの71%、日本のリーダーの49%が、カスタマージャーニー全体を見直し、スムーズな顧客体験構築を目指している最中だという。

「対話型サービス」実践のポイント

●顧客にとって都合のよいチャネルや場所でサポートを提供できる環境を整える
●チャネルや場所の種類を問わず、顧客が好きな時に会話を中断/再開できるようにする
●顧客が時間を無駄にしたと感じることなく、サポートを提供できるようにする

消費者は深い「パーソナライゼーション」を熱望

 調査からは、パーソナライゼーションに対する消費者の期待は、多くの企業が持つ認識以上に深くて高度であることが明らかになっている。世界の消費者の62%は、ほとんどの企業のオンライン体験はもっとパーソナライズできるのではないかと感じている。日本のビジネスリーダーの57%も、より深いパーソナライゼーションが顧客との長期的な関係につながると考えている。

 マクダーモット氏は、「消費者は、1セグメントの消費者の1人ではなく、一個人として相対してもらうことを求めている。顧客とのパーソナライゼーションを深めることで、よりよい体験を提供できるようになるだろう」と述べている。

「パーソナライゼーション」実践のポイント

●カスタマーサービスデータを活用し、パーソナライゼーションを実行する
●データを1つの部門だけで留まらせないようにする
●データをエージェントやボットに引き渡して対応を任せられる環境を構築する
●従来のマーケティング活動以上にエクスペリエンスのパーソナライゼーションに注力する

●Next:「AI」「顧客満足度と感情分析」「部門の垣根を超えた連携」がCXにもたらす効果

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