[調査・レポート]
CXの重要性を認識しながらも、優先事項に挙がらない日本企業─Zendesk調査
2022年4月1日(金)神 幸葉(IT Leaders編集部)
米Zendeskの日本法人は2022年3月31日、年次調査レポート「カスタマーエクスペリエンス(CX)に関する年次トレンドレポート(2022年版)」の結果を発表した。調査は、21カ国・3500人以上の消費者、4670人の企業のカスタマーサービスリーダーなどを対象に、2021年7月~8月に実施。調査結果によると、多くの日本企業が売上拡大でCXの重要性を認識するが、CX向上をビジネス優先事項とする企業は37%にとどまることが明らかになっている。
カスタマーサポートサービス管理システムを開発・提供する米Zendeskは、カスタマーエクスペリエンス(CX:顧客体験)に関するグローバル調査を実施。同社日本法人は、日本企業の回答結果を中心にまとめた「カスタマーエクスペリエンス(CX)に関する年次トレンドレポート(2022年版)」を発表した。
同レポートの調査対象は、21カ国・3500人以上の消費者、4670人の中小企業、大企業のカスタマーサービスリーダー/エージェント/テクノロジーバイヤーである。また、Zendeskのベンチマークプログラムに参加した9万7500社以上の同社ユーザー企業からもデータ(2020年7月~2021年7月の製品利用状況に基づく)を得ている。
CXの重要性を認識する企業は約6割
同調査において、国内の消費者の63%が「満足度の高い顧客体験をすると再び商品を購入したくなる」と回答している。また、「カスタマーサービスをパーソナライズしている企業から、より多くの購入をしたい」「分からないことがあったときに消費者自身で解決方法を見つけられるようにしてくれている企業から、より多くの購入をしたい」「消費者が望む方法でカスタマーサービスを利用できる企業から、より多くの購入をしたい」といった回答はそれぞれ約8割を占めている。
企業の側では、カスタマーサービスを収益の原動力と捉えている企業(27%)を、コストと捉えている企業(34%)が上回っているが、6割は顧客体験と業績には直接的な相関があると認識している。
カスタマーサービス向上にあたってオペレーターの重要性が高まる
上述のとおり、調査に参加した日本企業の過半数は、カスタマーサービスをビジネス上極めて重要な優先事項、売上拡大のために重要であるとの認識にある。しかし、同調査では、それに対して短期から中期の戦略的な計画を立てている日本企業は、37%と半数未満にとどまることも判明している。
Zendeskによると、同調査では、日本の年間顧客対応件数が前年比で19%伸び、満足度が高い消費者に対するアップセル/クロスセルの機会も増加しているという。また、消費者の過半数は、過去1年間、オンラインで過ごす時間が増加するにつれ、カスタマーサービスへの期待が高まったと回答している。
同社は、消費者に対してソリューションを利用した関係構築だけでなく、そのエンゲージメントポイントをきっかけに関係を深めることの重要性を指摘する。消費者のニーズに応えるためには、メール、電話、チャットなどの種々のコミュニケーションチャネルの中で、消費者の利用が多いチャネルで顧客対応を行えることが重要だという。実際に、半数近くの消費者が、「問題解決時に最も重要視するのは、親身になって共感してくれるオペレーターである」と回答している。
この結果が踏まえて同社は、カスタマーサービス向上にあたって、コンタクトセンターのオペレーターが担う役割の重要性も高まっているとしている。ただし、企業の多くは、カスタマーサービスにおいてオペレーターは売上拡大のために必要不可欠と認めるものの、オペレーター自身の業務満足度は非常に低い。調査では、自分の仕事量に非常に満足していると回答したのはわずか3%、トレーニングの質に非常に満足しているオペレーターはわずか1%という結果となった。
また、消費者の46%は、企業が行うオペレーターへのトレーニングの改善の必要性を感じているという。同社は、「企業は2022年、オペレーターの強化に重点的に取り組まなければならないことは明らかだ」と述べている。
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