矢野経済研究所は2023年9月8日、国内のデジタルマーケティング市場を調査し、CRM、MA、DMP、CDP、ABM、動画制作ツールにおける市場規模の推移と予測を公表した。2022年の国内のデジタルマーケティング市場規模(事業者売上高ベース)を2828億円と推計し、2023年の同市場規模は3167億5000万円に成長すると見込む。市場拡大の背景として同社は、コロナ禍以降続くユーザーのデジタルシフトや、これまで同分野に対して積極的に投資を実施してきた大企業に加え、中小企業によるツールの活用が進んでいることを挙げる。
矢野経済研究所は、国内のデジタルマーケティング市場を調査し、CRM、MA(マーケティング自動化)、DMP(データ管理プラットフォーム)、CDP(顧客データプラットフォーム)、ABM(アカウントベースドマーケティング)、動画制作ツールにおける市場規模の推移と予測を公表した。2022年の国内のデジタルマーケティング市場規模(事業者売上高ベース)を2828億円と推計し、2023年の同市場規模は3167億5000万円に成長すると見込む(図1)。
市場拡大の背景として同社は、コロナ禍以降続くユーザーのデジタルシフトや、これまで同分野に対して積極的に投資を実施してきた大企業に加え、中小企業によるツールの活用が進んでいることを挙げる。
また、個人情報保護の観点から「3rd Party Cookie」の規制が強化されている影響も大きいと指摘。「ユーザーは、自社で収集できる1st Party Dataを活用することで、顧客へのパーソナライズされた体験の提供に注力するようになった。こうした点も市場拡大の追い風となっている」(矢野経済研究所)。
中小企業においてCRMやMAの導入が進む
矢野経済研究所は注目の動向として、中小企業においてCRM、MAの導入が進んでいることを挙げる。
「従来、CRMやMAは、デジタルマーケティングに対して積極的な投資を行える大企業を中心に導入が進んでいたが、コロナ禍に入り、企業規模に関係なく営業活動のデジタル化やITツールを活用した業務効率化の取り組みが活発化した。対面での営業が難しくなったことから、ウェビナー参加者や自社サイト訪問者かの見込み顧客を獲得や、ツールを活用した顧客管理が重要になった」(同社)
こうした市場の流れを受け、これまで大手企業を中心に製品・サービスを展開してきたベンダーも、中小企業向けの提供を検討するようになっているという。
同社はまた、社内で各種ツールの導入が進むことで、これまで以上にツール間の連携のしやすさが重視されるようになったと指摘している。「数あるツールの中からユーザーは自社に最適なものを選択するが、これらのツールに蓄積されたデータは、ツール単体で活用するのではなく、マーケティング活動を通して活用して顧客に対して一貫したサービスを提供することが望ましい。そのため、ベンダーは自社以外のツールとの連携も強化すべく、エコシステムの構築に取り組んでいる」(同社)。
デジタルマーケティング市場は今後も順調に拡大する見込みという。「デジタルシフトによってユーザーにおける顧客との接点が多様化し、さらにコロナ禍の影響による不安定な情勢が落ち着いたことで、オフラインでの営業が再開してきている。ユーザーは大量のチャネルからデータを収集できるようになるが、これらを十分に活用していくためにはツールの利用が不可欠になっていく」(同社)
一方、多くのベンダーが生成AIを製品・サービスに組み込み始めている。「メールや文書の文面や構成案の自動生成、分析のアシストなど活用方法は広い。生成AIのさらなる活用によって、ユーザーにおける利便性の向上や顧客体験の向上といった効果が期待できる」(同社)。