コンタクトセンターやコールセンターの業務をAIで自動化・効率化する動きが活発化している。ナイスジャパンが企業、消費者の双方を対象に実施した「コンタクトセンターCX調査」の結果からは、AIの活用実態やコロナ禍以降の消費者の購買行動の変化などが見てとれる。その中では、企業と消費者とで認識にギャップが生じている項目もあった。
イスラエルNICEの日本法人であるナイスジャパンは、クラウド型コンタクトセンタープラットフォーム「CXone」や、生成AIのChatGPTなどと統合可能なAIフレームワーク「Enlighten AI」などを提供している。同社の「コンタクトセンターCX(顧客体験)調査」は、2023年6月9日~16日に企業、消費者の双方を対象に実施したWebアンケート調査である。調査対象の詳細は次のとおりで、調査結果を2023年8月4日に発表した。
●消費者(1830人):過去1年以内に商品・サービスに関してFAQの閲覧やコンタクトセンターに問い合わせした経験がある者。
●企業(3526社):従業員数50人以上で、1日2件以上の問い合わせを受けている企業・組織でコンタクトセンター機能の管理・運用業務に携わり、かつ顧客対応方針の検討・決定・管理に関与する者。
コロナ禍を経て、問い合わせチャネルは増加傾向
調査結果に関する説明をナイスジャパン ソリューションコンサルタントディレクターの山崎彰一氏(写真1)が行った。
まず、同調査における経年のトレンドとして、コロナによる規制緩和以降で問い合わせの数に関して変化は見られず(図1)、問い合わせチャネルについては、Webの問い合わせフォーム、チャット、店頭での問い合わせが増加したという(図2)。
「デジタルチャネルの増加はコロナ禍でその利用機会が増えたことによると考えられる」(山崎氏)。
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また、自動音声応答(IVR)、チャットなど電話応対以外のチャネルを設ける企業が増えている一方、チャットサポートを廃止する企業も増えているという。この動きに山崎氏は、企業におけるチャットサポートへの期待と実態の剥離があると指摘した。
同氏は、巣ごもり需要で拡大したEC利用は規制緩和後の今後も続くとして、EC企業のカスタマーセンターは、購入前から購入後までの緊密なサポートが重要視されるようになる」と述べた。
8割の消費者は問題の自己解決を希望
購入ないし購入を検討している商品・サービスに問題や疑問がある場合、消費者の8割は問い合わせることなく自己解決したいと回答している。また、企業への問い合わせの前に自分で調べるという回答が実に94.4%を占める。その方法として、インターネットやSNSでの検索に加え、ChatGPTを使って自己解決を図る人も現れているという(図3)。
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自分で調べても解決に至らない場合、高齢層は電話、若年層はデジタルでのサポートを希望している。「企業としては、顧客の属性に応じたチャネルミックスに工夫の余地がある」と山崎氏は指摘した。
結局解決しなかった場合はどうか。「あきらめる/商品・サービスを利用しなくなる」の回答は購入前、購入後ともに約半数で、「他社の代替商品・サービスを購入(検討)する」が約3割だった(図4)。山崎氏は、「つまり、問題を解決できなかった消費者の8割前後が離反し他社に乗り換える可能性があるということだ。FAQの充実やボットの高度化など、消費者が自己解決できるよ施策の高度化が求められている」とした。
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