[事例ニュース]

豊田自動織機、フォークリフトの荷積みと配送先の組み合わせを量子アニーリングで最適化

熟練者の6分の1以下の時間で出荷計画を立案

2024年10月28日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

豊田自動織機(本社:愛知県刈谷市)は、フォークリフト出荷時の荷積みと配送先の組み合わせ(配車)を量子アニーリングで最適化するシステムを、同社の高浜工場で2024年10月に稼働開始した。新システムにより、熟練者の約6分の1以下の時間で出荷計画を立案でき、積載率も向上したという。システム構築を支援したNECが同年10月28日に発表した。

 豊田自動織機の高浜工場は、国内向けに年間約4万台のフォークリフトを生産し、全国に出荷している。しかし、フォークリフトは、顧客がオーダーする車両の仕様が多岐にわたり、重量や形状が1台1台異なっている(写真1)。

写真1:輸送トラックに荷積みしたフォークリフトの様子(出典:NEC)

 複数台の輸送トラックへの荷積みと配車を同時に最適化しようとすると、組み合わせ数が約1兆通りになる。従来技術では出荷計画の立案自動化は困難で、担当者の負担となっていた。計画精度を高めるには実践経験が必要で、人材育成も課題だった。

 2024年10月、フォークリフト出荷時の荷積みと配送先の組み合わせ(配車)を量子アニーリングで最適化するシステムを構築した。トラックの最大積載重量、荷台サイズ、配送先など、約100項目にわたる制約条件を加味した組み合わせ最適化問題を解くアプリケーションを開発した(図1)。

図1:量子アニーリングで出荷時の荷積みと配送先の組み合わせを最適化した出荷計画立案システムの概要(出典:NEC)
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 同システムを高浜工場での出荷計画業務に用いたところ、熟練者の約6分の1以下の時間で計画を立案できた。同時に、積載率も向上した。これらにより、輸送費やCO2の排出量も減る。

 なお、量子アニーリングのシステムには「NEC Vector Annealing」を採用した。ソフトウェア処理で実現したアニーリングのアルゴリズムをベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」で動作させ、これをNECがクラウドサービスとして提供している(関連記事NEC、デジタル処理のアニーリングマシンをベクトル型スパコンで高速化、2020年第1四半期にサービス提供)。

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