[事例ニュース]
量研と核融合研、理論性能40.4PFLOPSの次期スパコンをNECに発注、AMD GPUとIntel Xeonで構成
2024年11月13日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(千葉県千葉市)と大学共同利用機関法人自然科学研究機構核融合科学研究所(岐阜県土岐市)は、次期スーパーコンピュータシステムをNECに発注した。両組織は同システムを量研の六ヶ所フュージョンエネルギー研究所(青森県上北郡)に設置し、2025年7月から運用開始する。NECが2024年11月13日に発表した。
量子科学技術研究開発機構(量研)と自然科学研究機構核融合科学研究所(核融合研は、次期スーパーコンピュータシステムをNECに発注した。量研と核融合研は、同システムを量研の六ヶ所フュージョンエネルギー研究所(青森県上北郡六ヶ所村、写真1)に設置し、2025年7月から運用開始する(関連記事:核融合科学研究所、NECのベクトルスパコン「SX-Aurora TSUBASA」を2020年6月に稼働開始)。
次期スパコンシステムは、360台の「NEC LX 204Bin-3」(CPU:Intel Xeon 6900P 720基)と、70台の「NEC LX 401Bax-3GA」(GPU:AMD Instinct MI300A 280基)によるGPUサーバークラスタを中心に構成する(写真2)。
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理論性能は40.4PFLOPS(ペタフロップス)で、現在、量研と核融合研に個別に導入しているスパコン2台を合計した性能の約2.7倍に相当する。なお、「NEC LX 204Bin-3」には、高速/大容量のMRDIMM規格のメモリーを搭載している。
ネットワーク環境は、「NVIDIA QM9700」によるInfiniBandを採用し、ソフトウェアは「AMD Instinct MI300A」に最適化したスケジューラ「Altair PBS Professional」を採用している。ストレージ環境は、Lustre並列ファイルシステム「EXAScaler」を採用した総容量42.2PBの「DDN ES400NVX2」を導入する。
量研と核融合研は、構築したスパコンシステムを核融合科学研究分野における各種の研究開発に活用する。国際プロジェクトとして進行中の核融合実験炉「ITER」計画や、サテライト・トカマク(JT-60SA)計画事業における実験の精密な予測と運転シナリオの作成、原型炉設計・研究開発の促進のための大規模数値計算などである。
また、核融合研では、核融合プラズマをはじめとする多階層・複合物理系を対象にスパコンを用いた数値シミュレーション研究を行うことで、広く核融合プラズマの学理と応用に関する研究を加速させる。さらに、大学共同利用機関として、全国の大学・研究機関に最先端のスパコンを用いた共同研究の場を提供する。