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核融合科学研究所、NECのベクトルスパコン「SX-Aurora TSUBASA」を2020年6月に稼働開始

2019年11月12日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

大学共同利用機関法人自然科学研究機構の核融合科学研究所は、次期スーパーコンピュータシステムとして、ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」をNECに発注した。システムの運用開始は2020年6月を予定している。NECが2019年11月12日に発表した。

 核融合科学研究所は、国内外の大学や研究機関と協力し、海水中に含まれるリチウムと重水素を燃料とする核融合発電の実現に向けた学術研究を推進している。同研究所ではこれまで、スーパーコンピュータによるシミュレーションなどにより、核融合科学に関する研究を遂行してきた。

 例えば、核融合プラズマ中には、電磁場を介して相互作用をする膨大な数の電子やイオンが複雑な軌道を描いて飛び交っており、様々な異なる時空間スケールをもつ複雑な現象が混在している。これらの複雑なプラズマ現象の物理機構を解明し、その振る舞いを予測するためには、スーパーコンピュータによるシミュレーションが欠かせない。

 今回採用する新しいスーパーコンピュータシステムは、核融合科学研究所の現行のシステムに比べて4倍以上の演算性能を持つ。これにより、これまで困難だった、より大規模で複雑な物理過程のシミュレーションを、より短時間で行うことができる。プラズマ現象の予測精度向上と核融合科学の進展に大きく貢献することを期待しているという。

 発注したNECのベクトル型スーパーコンピュータSX-Aurora TSUBASAは、2U-8VEサーバー540台(合計で4320VE)を搭載しており、NECとして最大規模のシステムとなる。システム全体の理論性能は10.5PFLOPS(ペタフロップス)であり、現行のシステムと比べて4倍以上の性能向上となる。

 メインメモリーの転送速度は、システム全体で現行システム比4.6倍の5.8PB(ペタバイト)/秒を実現し、同研究所で利用する高速なデータ処理を必要とするプログラムに対しても十分な速度を持つ。また、大規模シミュレーションによって生成する膨大な数値データの保存には、並列分散ファイルシステムで構築した30PBのストレージを採用している。

 SX-Aurora TSUBASAは、NECのベクトル型スーパーコンピュータであるSXシリーズの現行機である。最大の特徴は、汎用のx86サーバーとベクトルプロセッサを組み合わせていることである。ベクトル型スパコンの特徴として、メモリーのバンド幅がプロセッサ当たり1.2TB/秒と広い。このため、大容量データを一括処理する大規模シミュレーションの用途に向いている(関連記事NEC、x86とベクトルプロセッサを組み合わせた新型スパコン「SX-Aurora TSUBASA」)。

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